出版社内容情報
妖精世界を追放され、人の子として育つサースキ。皆とちがう自分に苦しむが、やがて道をみつけていく。ニューベリー賞オナー作品
内容説明
あたしは何者?妖精の国を追放され、ひとの子として育てられた少女サースキがたどる運命とは―?ニューベリー賞オナーブック。小学校高学年から。
著者等紹介
マッグロウ,エロイーズ[マッグロウ,エロイーズ][McGraw,Eloise]
1915~2000。アメリカのテキサス州生まれ。1950年作家としてデビュー。『オズの魔法使い』の続編を執筆した作家の一人でもある。“Moccasin Trail”、“The Golden Goblet”、『サースキの笛がきこえる』で三度、ニューベリー賞次席(オナー)に選出された
斎藤倫子[サイトウミチコ]
1954~。東京都生まれ。国際基督教大学語学科卒
丹地陽子[タンジヨウコ]
三重県生まれ。東京藝術大学美術学部デザイン科卒。イラストレーターとして、書籍・雑誌・広告・webなどで活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Miho
11
妖精のとりかえ子の物語。サースキは妖精の国で暮らしていた半分人間、半分妖精の子ですが、ある理由で人間の世界に置きざりにされます。居場所のないサースキの姿が、読む人それぞれの形で響いてくると思います。わたしはこの前に〈ロマ人の歴史〉を読んだせいか、荒れ地に暮らす「放浪の民」にどうしてもロマ人を重ねてしまいました。村の人々の仕事も外見の特徴も、とても当てはまるからです。妖精の物語ではありますが、社会でおきざりにされている声なき人々の物語でもあると思いました。しみじみ世界に浸りました。2021/02/05
よきし
7
閉鎖されたイギリスのとある村。その村に生まれた風変わりな少女サーキスは、小さい頃から妖精に取り替えられた取り替え子だと言われて育った。抑えきれない衝動、子ども内での果てしないいじめ、そして音楽の楽しみ。閉鎖的な村社会で異物はやがて居場所を失っていく。孤独なサースキと、そんな彼女にとまどいながらも大切に思う家族やだた一人の友人との関係が丁寧に描かれているのが本当によかった。流浪の民や周縁に生きる人々など、村社会のありようや妖精伝説を下敷きに書かれた作品。彼女の旅路に幸多いことを願いたい。2015/02/23
ことり
7
妖精が出てくるのでファンタジー?と思ったが、違いによる差別など考えさせられる内容の濃いお話でした。アンワラの願いは、本当の子供が帰ってくるだけじゃなくってサースキーの愛が欲しかったんじゃないかな。やっと、ヤノとアンワラの愛が分かったのに離ればなれの決断をするなんて。と個人的にちょっと残念に思うラスト。でも、サースキーの実の子を取り戻す勇気ある決断には胸があつくなりました!!相手の違いを認め、好きになれるトムみたいになりたいなーと思います!サースキーとトムが、幸せになってほしい...と心から思います。2014/09/02
杏子
7
とりかえ子伝説を下敷きにした物語で、いっけんファンタジー?かと思うけれど、実は違うんじゃないか。もちろん背景はファンタジーな世界なんだけど、つきつめて読んでみれば、これは自分の居場所を探してもがきつづけるYAの物語なんじゃないかと思う。半分人間で、半分妖精のサースキは、妖精だった頃も失敗ばかりで、妖精たちに受け入れられない存在だった。それで、人間と取り替えられてしまうのだが・・・生まれ変わった人間の世界も生きづらいことに代わりはなく。最後にしたサースキの選択が、よりよいものであることを願わずにいられない。2013/02/04
がぉ@春待人
6
人間の赤ん坊と取り替えられた「とりかえられっこ」の妖精のお話。 妖精の世界からはじき出され人間の世界へと送り込まれたサーキス、人間の世界でも差別や偏見に合い・・・ ファンタジー世界だけど、ファンタジーではないお話。 ヤノやアンワラの愛を考えると、ハッピーエンド?といえるのかなぁ? いいお話です、サースキが幸せでありますように・・2014/11/24