出版社内容情報
坂・橋・海など八つの風景にまつわる45の小品集。独特の感性と郷土性を、香り高い文章で綴る。 小学校高学年から
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
159
山を越えれば海が見える。いくら越えても山しかない。空を見上げ少年はもう一度力を込めて歩き出す。この世には美しさがあり皆それを知っている。そのことが何とも言えず嬉しく誇らしい。箱と箱の隙間に落ちた手紙、空にキラキラと舞うしゃぼん玉の行方。夜道に灯る優しさに心温まる。秋の朝、奏楽の音が聴こえてくる。きっと会えるから風が吹いたらまた来てみよう。高い空を雲は流れ鳥は風と遊び虹の彼方へ消える。一面に広がる紅葉の道。雪来る前のひとときを小さな靴で歩く。小川未明と同じ高田に生まれた作家、杉みき子さんの澄んだ物語の世界。2022/10/02
はる
49
現在85歳の童話作家杉みき子さん。作者が少女時代に過ごした町の風景やその時の思い出をモデルにした四十五の物語です。大人になってからふと思い出す、子供の頃の空想や不思議な体験。樹も鳥も風や太陽も、とても近い存在だったあの頃。一つ一つのはなしがとても短いので時間をかけてゆっくりと楽しみました。赤い鳥文学賞受賞作。2016/05/18
あつひめ
37
大人の心になってしまうと見損なってしまう風景。子どもの頃は大きく広く感じられた場所も大人になってその場に立ってみるとなんと狭い空間だったのか・・・と驚く。最近見かけなくなった景色がこの物語の中には生き生きと存在している。たぶん・・・私たちの心の中にも昔見た風景は今でも生き生きとしているはず。国語の教科書を読んでいるような気もしてしまったけれど、なんか・・・残しておきたい時間の流れだなぁ・・・今の子が読んでもなかなか共感するのは難しいかなぁとも思った。懐かしい世界なんだよね。2010/09/29
花林糖
16
<坂のある風景/商店のある風景/塔のある風景/木のある風景/電柱のある風景/鳥のいる風景/橋のある風景/海のある風景>8つの風景にまつわる45のちいさなお話集。杉みき子さんの美しい文章がとても心地良く丁寧に読み進めました。 一番のお気に入りは坂のある風景。2018/07/03
奥山 有為
13
実話のようにリアリティある描写で、でもちょこちょこ不思議な話もある。文章、描写がとにかく素敵。じっくり折に触れて読み返したいなー2017/09/24