内容説明
クモのけんか、木の枝から川にとびこむ度胸だめし、山でのメジロとり…。昭和二十年代、ゆたかな自然のなかで、少年は毎日、友だちと遊び、働いていた。生き物の命がずっと身近だった戦後の熊本の生活が、熊本弁であざやかによみがえる連作短編4編。小学館文学賞受賞作。小学上級以上向。
著者等紹介
丘修三[オカシュウゾウ]
1941年生まれ、熊本で幼少期をすごす。東京学芸大学、東京教育大学で、障害児教育を学ぶ。著書に『ぼくのお姉さん』(坪田譲治文学賞・新美南吉児童文学賞・日本児童文学者協会新人賞)など
かみやしん[カミヤシン]
本名、上矢津。1942年、東京に生まれる。リュブリャナ国際版画ビエンナーレ、ブラッドフォード国際版画ビエンナーレで受賞。版画、コラージュ、立体などによる抽象作品を制作する。『ぼくのお姉さん』で赤い鳥さし絵賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鈴
24
短編集。「紅鯉」を読みたかったので。しかし、それよりも「女郎蜘蛛」「ユキ彦」が印象深かった。どちらも男子特有の、友達に強く思われたい、格好よく思われたい感情がリアルで、それがせつなかった。丘さんは2冊目。他も読んでみたい。2016/04/15
Naomi
3
丘修三さんがご自身の子ども時代をもとに、熊本弁で書かれた連作短編4編。 自然の中でイキイキとあそぶ子どもたちの姿が丁寧に描かれています。 生き物や人の死が身近にあり、読んでいて、ドキドキしました。 熊本弁の会話で、天草に住む祖母や叔母を思い出し、あったかい気持ちになりました。2013/01/20
菱沼
2
ほんの数十年前のことなのに、まだ生も死も身近にあった時代。「修ちゃん」というのは丘さんご自身なのだろう。「みんないっしょ」ではなく、区別も差別もあり、子どもたちはそれをストレートに感じ、表現する。「ユキ彦」の切なさ、「紅鯉」の主人公が感じる他人の気持の刺と、あたたかさ。いつも良い子ではいられない少年たちの日々がリアルだ。ひざが震えるような高い木の天辺から川に飛び込み、トリモチでメジロを捕まえ、少年たちは家に帰って「何をしてたの」と聞かれたら、きっと「別に」と答えるのだろう。2016/02/06
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