内容説明
小笠原諸島発見。猫が語る歴史物語。延宝三年(一六七五年)船頭、嶋谷市左衛門たちは江戸幕府から無人島探検の命令を下される。中国式の帆船ジャンクに乗った一行はみごと今の小笠原諸島を発見。探検をし、地図を書いた。知られざる歴史的事実をふまえた壮大な物語。
感想・レビュー
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ぶち
96
猫が語る嶋谷市左衛門の歴史物語。でも、嶋谷市左衛門って誰? ほとんど知られていません。私も知りませんでした。鎖国中の江戸時代、小笠原諸島を発見・探検し、緯度経度も精確な地図を作った元海賊です。海賊といっても他の船を襲っているのではなく、外国との貿易で生きてきた"賊"ではなく"族"の字が似つかわしい人々です。この市左衛門の地図のおかげで小笠原は日本の領土と世界に認められることになりました。幕府はその価値に気づかずに、市左衛門の名は歴史の中に埋もれてしまったのです。無能な役人はどの時代にもいて嫌になりますね。2021/11/14
ほしこ
2
まるで歴史書。この手の児童書で初めて面白いと思った。2024/11/10
kana
1
小5の長女に童話館から。まずは母が先に読了。なだいなだ先生らしい言い回しがおもしろおかしく、きっと大河ドラマにはまる長女なら一気に読み終わるはず。鎖国時代をネコの目線から語らせ、同時に子どもたちには歴史への楽しいとっかかりになりそうな。目線を変えると過去の歴史も違って見えてくるのが面白い!2014/06/21
morgen
0
海賊というと、ならず者というイメージだが、実は数学や天文学にも長けた知的な人たちだった! 広い視野で時代の先を読み取る文左衛門さんがかっこいい。それに対し、幼稚な将軍や保身ばかりの幕府の役人たちの情けないこと。しかし、歴史に名を残すのは海賊のような人々ではないのが切ない。今年は、小笠原諸島返還50周年。今年読むべき一冊?2018/06/28