内容説明
バルサとチャグムはこの物語の発端となったチャグムの祖国、新ヨゴ皇国へむかう。新ヨゴ皇国は南のタルシュ帝国に攻めこまれ、一方、ナユグの四季も変化の時をむかえていた…『天と地の守り人』三部作ここに完結。
著者等紹介
上橋菜穂子[ウエハシナホコ]
立教大学大学院博士課程単位取得。専攻は文化人類学。オーストラリア先住民族であるアボリジニを研究。女子栄養大学助手を経て、川村学園女子大学助教授。著書に『月の森にカミよ眠れ』(日本児童文学者協会新人賞)『精霊の守り人』(野間児童文芸新人賞、サンケイ児童出版文化賞)『闇の守り人』(日本児童文学者協会賞)など。2002年巌谷小波文芸賞受賞
二木真希子[フタキマキコ]
愛知教育大学美術課程卒業後、テレコムアニメーションフィルムに入社。フリーを経て現在はスタジオジブリでアニメーションの原画を担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Rin
86
【図書館】チャグムが、バルサが必死に命をかけて成し遂げようとしたことが、少しずつ形になっていく。本当に細く切れそうな糸がしっかりと繋がっていく過程に、ページを捲る手が止まらない。諦めない、挫けそうになっても前を向く強さを手に入れたチャグムが逞しくも、そうなるしかなかったことが辛い。だれもが、少しでもよい方向へと望んでいて、精一杯の力を知恵を出して手にした結末。今は難しくても、彼らの望む国に、世界に少しずつ進んでいって欲しい。笑って穏やかな、緩やかに日常を過ごしていける日々を送って欲しいです。2016/05/23
R
85
チャグムの長い旅がついに終わる、そんな物語でありました。これまでとはうってかわった重苦しさ、戦争描写の苛烈さが見事で、これまでのバルサの活躍とはまるで違う、別個の闘争風景に戦争とはそういう恐ろしさを持つ異常事態なんだと改めて思い知る。それぞれの人物が、その位置で最善と思う選択をし、それが複雑に折り重なっていき、過程での対立とも思える事象が起きたり、はらはらしながら読み進めました。驚くほどあっけない終わりだと思いましたが、皆が自分の場所に帰ったとも思えて、切ないような気分になれました。面白かった。2017/07/29
ちはや@灯れ松明の火
80
日々が一日また一日と積み重なって人間の人生が紡がれていくように、ひとりの人間の生き様がふれあいすれ違いぶつかりあい重なりあって歴史は築かれていく。草兵として戦場に駆り出された男の見た阿鼻叫喚、獰猛な肉食獣たる帝国の裏に燻ぶる火種、忌み嫌い合い訣別した父子が貫いた揺るがぬ信条、命を賭け民を救う術を試みた呪術師、己が帰る場所を見出した女。ナユグの春は旧き時代を雪解け水と共に洗い流し、あとに残された泥の中から新たな時代が芽吹いてゆく。朝陽が昇り、季節は巡り、人の営みは繰り返され、歴史は物語となり生き続ける。2010/11/21
万葉語り
69
シリーズ10冊目。チャグムとバルサの物語がついに終わってしまった。自分の大切なものを守るために、危険をも顧みず不可能に見えることに立ち向かう強い気持ちと確かな実力。周囲の人々とのなれ合いではない信頼。そんなものがわかりやすく描かれていた。再読したい。2019-0452019/03/09
ひらちゃん
66
とうとうバルサとチャグムの物語に幕が降りました。長い長い旅から帰ってきた~という思いでいっぱいです。それぞれの道を進む二人に幸あれ!このシリーズ、図書館で少しずつ読み進めてきました。ワクワクする楽しい時間をありがとうございましたって上橋さんに言いたい気分です。2016/06/26