内容説明
新ヨゴ皇国皇太子のチャグムは罠と知りながら、祖父トーサと共に新ヨゴの港を出港する。この船出がチャグムの人生を大きく変えていく…罠におちひとり囚われの身となるチャグム。愛する人との別れそしてあらたなる出会い…。
著者等紹介
上橋菜穂子[ウエハシナホコ]
立教大学博士課程単位取得。専攻は文化人類学。オーストラリアの先住民であるアボリジニを研究。女子栄養大学助手を経て、川村学園女子大学助教授。文化人類学的視点を生かしたファンタジーを書く。著書に『月の森にカミよ眠れ』(日本児童文学者協会新人賞)『精霊の守り人』(野間児童文芸新人賞、サンケイ児童出版文化賞)『闇の守り人』(日本児童文学者協会賞)『夢の守り人』(路傍の石文学賞)『神の守り人』(小学館児童出版文化賞)『狐笛のかなた』(野間児童文芸賞)などがある。2002年巌谷小波文芸賞受賞
佐竹美保[サタケミホ]
1957年、富山県に生まれる。デザイン科を卒業後、上京。SFファンタジーの分野で多数の作品を手がける
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感想・レビュー
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ちはや@灯れ松明の火
87
あの時はまだ、支え教え導いてくれる者達が傍らにいた。今は、たった一人。父帝に疎まれ再び故国を追われた皇太子は南洋を流離う。信頼する腹心との別れ、敬愛する祖父の死。満ち足りることを知らぬ貪欲な帝国の虜囚として、北を目指し世界を呑み込まんとする赤銅色の嵐が荒れ狂うのを止める術もなく佇む。比べようのない国力の差、逃れ得ぬ侵略の予感。けれど微かな希望の欠片を求めて、底知れぬ深い深淵に蒼い理想を貫くための活路を見出す。独りではない、その背には守るべき民衆が居り、胸の中には大切に守ってくれた人々の消えぬ面影がある。2010/11/10
R
86
皇子チャグムの苦難のはじまりを記した物語でした。バルサやシュガといった、それまで頼りとした人たちがいない中で、一人自分の力で運命に立ち向かう姿、重責を認識し、成長していく姿が見事であります。複雑な立場から、逃れたいという気持ちも抱えつつ、それでいて一国を思う心がそれを許さないといった気高さが心地よくて、若さゆえの苦難を迎えるけども、それゆえに乗り越えられそうな期待感を示した物語でした。偉い成長っぷりだが、これくらい人間考えて生きていかないとなぁと反省させれるのでありました。2017/07/22
万葉語り
62
表紙は最後の希望のシーン。世界を見るということは、自分を相対化できるということ。かつて用心棒とともに国内を見て回った皇太子が、今度は自らの足と頭を使って圧倒的に強大で常識さえも覆される国外を旅し、多くの人を魅了しながらもたった一人で泳ぎだす。この先のチャグムの人生に幸あれ。高良健吾と鈴木亮平が勝手に出てきて困りました。2019-0242019/02/03
背古巣
62
スケールの大きな話です。短気を起こしてしまったことで抜き差しならない状態に陥ったチャグムが、罠と知りつつ南へ向かいます。敵の虜囚となりながら自分を見失わず、いかに祖国を守るかに心を砕く。最初の短気はいただけませんがその後は、大人になったなという感想です。この本のカバー絵は最後のシーンを表しているんですね。無事にたどり着いて目的を遂げられるといいなと思います。それが次の「天と地の守り人」なのでしょう。楽しみです。2016/07/14
ひらちゃん
57
もう!帝の冷酷さには言葉もない(怒)。ドラマの中では藤原竜也が見事ハマリ役だったよなぁ(苦笑)。チャグムが一身に背負う新ヨゴ皇国の運命はどうなるのだろう。危うい少年だったのが、聡明かつ勇敢な青年にどんどん成長を遂げている。次回も目が離せないな。これは…。2016/05/14