出版社内容情報
月夜の雪の森で、わしみみずくに会った少女の胸の高鳴りと、大自然との交歓をみごとに描く詩の絵本。 6才から
内容説明
父親とみみずく探しに出かけるのを心待ちにしていた少女の心の動きが詩情ゆたかに語られる。月夜の雪の森で、わしみみずくに会った少女は、大自然との交歓を味わう。1988年度コルデコット賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
313
ニューヨーク生まれの作家、ジェイン・ヨーレンの文、同じくニューヨーク出身の画家、ジョン=ショーエンヘールの絵。お話も絵も、いわゆるファンタジーではない。手法はむしろ徹底したリアリズムである。にもかかわらず、この本がファンタジックでもあるのは、ひとえに自然が持つ深遠な広大さによるものである。それは冬の大地であり、夜の底深さであり、大みみずくが生存することの不思議と、彼らと私たちが同時代を共存できることの幸福である。文章は原文で読めば、おそらくは詩的なリズムが時を刻むのだろう。絵も最初のページの農場の⇒2024/09/29
やすらぎ
216
冬が待ち遠しくなる絵本。長く続く厳しさは美しさを併せ持つ。薄明の月、静寂の森の夜は、言葉にするのではなく、心のなかで思うことが大切。雪はなぜこんなに白いのだろう。雪原に落ちる樹形の影の隙間を、とうさんの足跡を追いかけて私の小さな影はついていく。いつでも会えるとは限らないんだ。でもここにいる。そう感じるだろう。きっと今日は来てくれる。そう願うこと、でも求めすぎないこと、ドキドキすること、もし会えなくても感謝すること。ようこそ。なぜこんな寒い夜にここまで来たの。やがて大きな翼は音もなく森の奥へと消えていった。2023/08/20
じいじ
125
父と幼い娘が、みみずくを探しに森に向かいます…。雪の積もった寒い夜、月がきれいな夜です。父娘の願いがかなって・・・。娘の目線で語られる物語。みみずくと対話できるお父さん、そんなお父さんを敬愛する、娘のやさしい心根が伝わってきます。心温まる素敵な絵本です。絵も素晴らしいですよ。2018/03/26
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
99
冬の森。みみずくに会いに出かけた父娘。大切なのは森のルールに従うこと。静かに、静かに、おしゃべりはいらない。会えるか会えないか、ワクワクしながら自分にできることをしよう。やがて夜の帳がおりて月が顔を出す。夜の森はちょっと怖い。遠くで声が聴こえる。ほーほう。近づいている。寒くて耳が痛い。目がちかちかする。ほーほう。影がみえた気がした。息をひそめてみつめる……。自然との触れ合いを美しく描いた本。1988年コルデコット賞。2015/09/21
ぶんこ
85
冬の夜、父と娘の二人して「みみずく」に逢いに森の中へ入る。月が夜道を照らしてくれるのでしょう。父の大きな足跡と娘の小さな足跡。「みみずく」に逢うためには静かにしていなくてはと息詰めるような期待感が伝わってくる詩文と絵。こんな思い出がある子ども時代が羨ましい。著者の夫と娘の実話。素晴らしい伴侶を持たれてますね。歳はとってしまったけれど、同じ夜を味わいたい思いでいっぱいになりました。2018/04/05