内容説明
第一次世界大戦、シベリア出兵、関東大震災、そして…。北海道の屯田兵村に育ち、17歳で海軍機関兵に志願した青年が生きた平凡でかけがえのない日々。明治末から昭和のはじめまで、激動の時代を生きた父を、希代の児童文学作家が書き上げた評伝小説。
著者等紹介
佐藤さとる[サトウサトル]
1928年、神奈川県に生まれる。現代児童文学の第一人者として活躍し、毎日出版文化賞、厚生省児童福祉文化賞、野間児童文芸賞、巌谷小波文芸賞、エクソンモービル児童文化賞、赤い鳥文学賞など数々の賞を受賞している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
オサム兄ぃ
13
ファンタジー作家晩年の作品は、一般読者に向けた父親で旧海軍技術将校の伝記。長年のファンなので「だれも知らない小さな国」でその最期がさらりと触れられている、せいたかさんの父親を思い浮かべながら読んだ。屯田兵村で育ち16歳で志願して海軍の兵団機関兵となり、努力が認められて下士官から准士官へと進み、ミッドウェー海戦で果てる生涯は読み応えがある。例えば艦隊勤務からカレーが国民食になったように、軍隊での体験が日本の近代化と思考形成に与えた影響は大きいが、知られていないことが多いと思った。2021/08/14
月をみるもの
7
南洋ドイツ領への進出、ロシア革命直後のニコラエフスクへの寄港と、海軍の歴史そのものと歩みをともにする叩き上げの志願兵、佐藤完一。教科書にはほんの数行の記述しかないシベリア出兵が、実際どんなものだったのか、現地での様子がかいまみえる。そして完一の帰国後、ほどなく尼港事件が起きる。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%BC%E6%B8%AF%E4%BA%8B%E4%BB%B6 2016/11/23
メイロング
6
児童書棚ではなく一般文芸でした。作者の自伝よりも「なんで知らない人の伝記を読んでるのだろう」感が上。自分の父親の話をここまでおもしろく描けるのは、小説家の力とは別の筋肉のような気がします。序盤も中盤も終盤もよし。すごいなあ。人に紹介したくないなあ。艦これでお馴染みの艦艇もたくさん出てきて、光人社の戦記文庫が苦手な提督も大丈夫。2016/11/04
かち
6
作家・佐藤さとる氏のお父様のお話。順風満帆で、恵まれた一生だ…と単純に言えないほど小さな苦労や、窮地に見舞われたはずで、それを感じさせないのは、やはり完一さんのお人柄何だと思う。ご自身で縁に恵まれたと言っておられるけど、完一さん自身の思いの豊かさと正しさに寄ることが大きい。…余談だけれど、さとるは“悟”だとこの本を読むまで思っていましたwww2013/07/11
ぶーにゃん@積ん読本解消中
4
道産子で横須賀にも住んだことがあるので100年前とはいえ共通項が一杯!記述された土地が懐かしく感じました。純真で一途な生き方をしている海軍軍人の亡父の青春が生き生きと書かれていておもしろかった。特に親友に妹を嫁がす算段をしている時に主人公が幼なじみとの結婚話を並行して進められている様子は凄かった!結婚なんて勢いだなあと自分を顧みてしまった。 2010/10/05