出版社内容情報
民意とは何か。国民民主党の躍進はSNSによるものなのか。80年代の中曽根政権、2000年代の小泉政権、安倍政権での「民意」を軸に、各党の世論調査や情勢分析のほか、参政党、日本保守党も含めた動向を分析。派閥・中間団体が消滅した現代日本の権力奪取の構図を独自取材で追う。
内容説明
各政党は「民意」をどう分析しているのか?最新の世論調査と情勢調査で見るリアル・ポリティクス 大衆社会における個人の「原子化(アトム化)」が進む今、政治の世界、とりわけ選挙では、短い言葉でメリハリの利いたことを言った方が「勝ち」となる。たとえそれが、実現不可能であったとしても、だ。ポピュリズム(大衆迎合主義)によって民意をまとめる手法は危ういが、SNSによる虚実ないまぜの膨大な情報は、選挙のあり方を変えている。派閥・中間団体が消滅し、ポピュリズム的傾向を強める現代日本の政治状況を、独自取材で追ったノンフィクション。
目次
序章 民意とは何か―現在に続く中曽根康弘の嘆き
第1章 SNSと動画サイト―2024年の選挙を振り返る
第2章 世論調査と情勢調査―マスコミと政党はどのように選挙分析しているか
第3章 中間団体の衰退とポピュリズム―SNS民主主義の危険性を考える
第4章 岩盤支持層と分断的手法―55年体制以降の「人気取り」の変遷
第5章 派閥を解消した自民党―一気に力を失う「大物」たち
第6章 「砂の民意」のもとで進む多党化―参政党の「オーガニック信仰」と神社崇拝etc.
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
29
80年代の中曽根政権、00年代の小泉政権、安倍政権での民意を軸に、各党の世論調査や情勢分析、参政党や日本保守党も含めた動向を分析した1冊。民意とは何か。国民民主党の躍進はSNSによるものなのか。SNSと動画サイトが注目を集めた24年の選挙を振り返りながら、マスコミと政党はどのように選挙分析しているか、中間団体の衰退とマスコミ不信によるポピュリズムの台頭、55年体制以降の人気取りの変遷から、自民党が派閥を解消した影響、与野党トップが中道路線という状況で、政権交代ではなく多党化へ向かう解説は興味深かったです。2025/07/05
どら猫さとっち
18
ちょうど、参院選が近いときに読み始めた。SNSや動画サイトを駆使した選挙が、昨年かつてない結果を生み出した。しかし、それは恐ろしい事態を引き起こすことにつながった。私たちの民意は、SNSや動画サイトで反映されているのだろうか。かつて中曽根康弘がいう、粘土が砂になった時代、ポピュリズムによる大衆民主主義はどこに向うのか?これからの政治を知るうえで、本書はひとつの手がかりになるだろう。2025/07/20
すのさん
7
既存メディアは既得権益層と捉えられ、2024年にあった選挙でもSNSにより情報を収集した有権者が多かった。SNSの隆盛は過激な意見を目立たせ、選挙も「考える」ものから「見る」こと重視へと変化している。目立つ意見は無垢な有権者のもとに刺さり、ポピュリスト政党を伸長させてきた。中間団体も権益層として衰退した現在において、個人を団体としてまとめる存在はなく、個人は粒のまま。個人の影響力には限度があり、中間団体の重要性が浮かび上がる。自らの意見に近い政党に投票するという傾向が強まる結果として多党化が進むとみる。2025/09/27
みじんこ
6
中曽根康弘の民意を砂と粘土に例えた話から始まり、2024年のSNSが活用された選挙を振り返ることで現代日本の政治状況が見えてきた。逆「沈黙のらせん」効果等、様々な引用がなされ情報量が多い。選挙でSNSやデータ分析を活用している政治家の実例も紹介され、戦略としては正しいのだろうが憲法43条の「全国民を代表」するという建前を踏まえると悩ましい。終盤で参政党について触れられているが、中間団体の衰退等これまでの論考と「細分化された民意」の反映も相まって伸長は必然だったのだと思えた。刊行当時より更に混沌としている。2025/10/19
お抹茶
5
主題と中身が少し違うような。主に2024年の都知事選と衆院選を分析。都市型の選挙区で,政治家が駅頭を舞台に自らアイドルとして演説やビラ配りをする「映える」選挙は,小選挙区制の「見る選挙」の一種。維新はデータを用いたマーケティング手法で選挙戦を展開。既存のマスメディアは近代社会のリベラルな価値を掲げ,客観的な事実に基づく報道を建て前としてきたが,SNSはホンネを剥き出しに流通させ,公共性が成立する前提を破壊する。派閥の力がなくなった自民党では歯止め役がいなくなり,総理や幹事長の権力行使が強くなる。2025/10/17
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