出版社内容情報
「また逢う日まで」「UFO」「勝手にしやがれ」「ルビーの指環」「赤いスイートピー」──日本の大衆がもっともゆたかだった昭和後期。「うた」で時代を完全に支配した不世出の作詞家2人を主人公に、あの時代の残響と1億人の集合無意識を描ききる力作評伝。
内容説明
沢田研二、ピンク・レディー、山口百恵、松田聖子…歌謡曲が輝いていた時代の記録。日本の大衆がもっともゆたかだった昭和後期。阿久悠の「熱」と、松本隆の「風」がつくりだす“うた”の乱気流が、時代を席捲しつくした。なぜあんなにも、彼らの作品は、私たちをとらえてはなさなかったのか。
目次
序章 始まりは、ハッピーエンド
第1章 時の過ぎゆくままに―一九七五年
第2章 セーターとハンカチーフ―一九七六年
第3章 勝手にしやがれ、シンドバッド―一九七七年
第4章 UFO、サウスポー、あるいはキャンディ―一九七八年
第5章 ダンディとセクシャル―一九七九年
第6章 長い休暇―一九八〇年
第7章 スニーカーと指環とパラソルと―一九八一年
終章 時代おくれ
著者等紹介
中川右介[ナカガワユウスケ]
1960年東京生まれ、早稲田大学第二文学部卒業。2014年まで出版社アルファベータ代表取締役編集長として「クラシックジャーナル」や音楽家・文学者の評伝などを編集・発行。作家としてクラシック音楽、ポップス、歌舞伎等の評伝に定評がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
エドワード
32
僕は小学五年生の時に桜田淳子に夢中になった。初めてEPを買い、天井にポスターを貼った。阿久悠という作詞家は天才だと思った。中学生になった年、太田裕美のポスターが加わる。松本隆という作詞家の紡ぎ出す言葉は僕を魔法の世界へ誘った。70年代、夢のような歌謡曲の時代だった。レコード大賞、紅白歌合戦。高校での話題は常に歌手やテレビドラマ。この本はその夢の日々の裏話-歴史を読む気分だ。キレイゴトだけ享受していたあの頃が懐かしい。僕が大学生になった年―1981年で物語は終わる。松田聖子の「風立ちぬ」は今でも僕の宝物。2017/12/20
阿部義彦
28
朝日新書新刊より。お二人の評伝では単純にはありません。あえて言えばお二人の時代又は人間関係が主題かな。ザ・ベストテンからロングバケーション、沢田研二の「一等賞」発言そして、キャンディーズ、ピンク・レディー、太田裕美、原田真二、松田聖子、山口百恵まで、あの時代の徒花たちの栄枯盛衰、二人の作詞家のスランプと絶頂期までが、いささかオーバーなくらいまでかなりの熱量でもって語られます。読み物としても秀逸でした。2017/12/23
柊子
25
ジュリーや山口百恵、太田裕美、五木ひろし、等々当時の賞レースをリアルタイムで観た世代なので、とても懐かしかった。「スター誕生」も欠かさず観たし・・。歌謡曲も好きだったが、当時は兄の影響で、「五つの赤い風船」や「六文銭」などもよく聴いたなあ。2017/12/20
pohcho
24
阿久悠と松本隆を中心に1975年から1981年までの歌謡界を オリコンのヒットチャートをもとに綴った本。図書館の新着本で見かけて借りてみたが、思ったよりもずっと面白かった。読み終わってびっくりしたのは、ここに書かれているのがたったの6年分だということ。沢田研二、キャンディーズ、山口百恵、ピンクレディー、松田聖子、近藤真彦まで。今から思うと嘘みたいな話だけど、昔は紅白の視聴率が70%超、レコード大賞も50%超。すごい時代だったなあ。出てくる曲はほとんどソラで歌えるものばかり。口ずさみながら楽しく読了。2018/01/13
さゆき
20
歌謡曲黄金時代のヒット曲の流れがわかる本。無名の新人や売れる前の歌手をどう作り上げ、スターにしたか、音楽業界を彼らがどう変えていったか、昭和の歌謡史的な本です。好きだったのに忘れていた曲も思い出すことが出来ました。ヒット曲を老若男女が知っていた時代。作詞・作曲・編曲、イメージ作り、と1人の歌手に力を注いで育て、歌詞にはドラマがありました。当時の歌手のステージを今観ると、数分を主人公になって演じているようです。聖子ちゃんは「風立ちぬ」が一番好きなんだけど、本人は当時気に入らない曲だったとは。2022/05/21