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内容説明
超有名なのに、みんな実は内容をよく知らない、『学問のすゝめ』の魅力とは―自由とは?平等とは?明治政府って何やるの?天皇ってどんな人?藩と国はどう違う…?まだ庶民が江戸脳だった明治五年に出版され、当時二〇万部の大ベストセラーとなった『学問のすゝめ』。列強侵略の脅威を一旦は免れたものの、その真の恐ろしさや近代化のなんたるかが全然わかっていない日本人に、諭吉は何を学べと言い、彼らを熱狂させたのか?当時の時代背景や、ことばの意味、諭吉の思考回路もおりこんだ新感覚の解説本。そしてなぜ現代人も、時代の節目節目に、この本を繰り返し読んでしまうのか、その理由も明らかに!蒙が大嫌いな福沢諭吉の、蒙への愛まで伝わってくる、感動の講義録。
目次
第1回 明治五年の頃
第2回 学問とはなんだ
第3回 虚学と実学
第4回 福沢諭吉がまず言いたかったこと
第5回 自由になったらなにをする?
第6回 「啓蒙」ってなんだ?
第7回 敵がようやく姿を現す
第8回 もしも世の中がバカだらけなら
第9回 私はやらない、君がやれ
最終回 現在進行形としての『学問のすゝめ』
収録 福沢諭吉『学問のすゝめ』初編
著者等紹介
橋本治[ハシモトオサム]
1948年東京生まれ。小説、評論、古典の現代語訳、エッセイ、芝居の演出など、旺盛な創作活動を展開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
42
端的に、諭吉先生は、自分を確立して、政治と向き合えと言っているという(5頁)。彼は人間が平等なことの起源に神を持ち出さず、天の概念を使った(23頁)。日本から見た西洋は蕃だった。慶應義塾は東大より9年早かった(30頁)。学問をして世の中を動かせばいい、と(31頁)。橋本氏は、江戸時代に漢学を知っていた人は、諭吉さんの抽象的なことも理解できたろうと推察されている(50頁)。実学は学問のための学問でなく、実効性のある考えを宿らせる学問。2016/07/25
道楽モン
29
ここでも橋本治に助けられてしまうのだ。故人とはいえ、彼の功徳は書物という形で残され、時代を経て私の様なボンクラの足元を照らしてくれる。有り難いことこの上ない。橋本版「学問のすゝめ」講義は、精読ではなく重要点に特化したもので、エッセンスが凝縮された第1章に焦点を当てた構成だ。明治5年当時の時代背景や価値観、福澤の思想的なスタンスなど、書かれていることを正しく受け取るために必要な基礎知識を与えてくれる。この備えが無いと、バカは容易に誤読なり混乱を来すだろう。啓蒙の意味から始まる橋本治の名講義を堪能すべし。2024/05/28
乱読家 護る会支持!
8
明治5年から9年にかけて書かれた「学問のすすめ」。まだ国としての形を成していない時代に、当時の学問であった漢文古文ではなく、欧米の学問を学ぶことをすすめた。国、組織、個人が独立するためには学問が必要。。。「独立」「自由」「啓蒙」について、論が進みます、、、学び有る者も、政治に関心なく関わろうとしない者も、民主主義国家では同じ一票。国民が政治に参加しない国家は、いずれ滅びていく。なんか、今の日本は限りなくそれに近づいているような。。。2016/12/13
蛸墨雄
6
なるほどなぁ。歴史的背景をしっかり捉えて読み進めないと余計に混乱するということか。橋本さんの解説本は本当に頭がさがるほど深く研究されていて、わかりやすく、勉強になる。原本も読んでみようと思います。2019/03/18
nizimasu
6
橋本さんの最近の文章はさえ渡っています。今回もなぜ福沢諭吉なのかということの説明はものすごく丁寧ですらある。そこには勉強の手法ではなく西洋の学問や文化が入ってきた時にいかに処すべきかということがかいてあるという論旨で初めてこの本の意味が分かった気がする。「独立」という新しい考え方は今となっては当たり前だけど江戸から明治に入った時代にはそんなことは頭の中にないだろう。そして西洋にはキリスト教という超えるべき思考のフレームがあったことから啓蒙論に進む当たりは見事な展開。そして民主主義の意味もまた今読むと深い2016/10/09