出版社内容情報
【社会科学/政治】急ごしらえの安倍内閣は、なぜ強いのか? 「政権投げ出し」からどう変わったのか? アベノミクス、安保法制と個々の政策には反対が多いのに、なぜ内閣支持率が高いのか。現内閣には多くの謎が潜む。気鋭の政治学者が、この謎を見事に解明する。
牧原出[マキハライヅル]
内容説明
安倍内閣は磐石ではない。それなのに、どうして「長期政権」と言われるのか!?アベノミクス、安保法制など個々の政策には反対が多い。しかし、なぜか支持率は低下しない。安倍首相は野党時代に何を学んだのか?自民党は「普通の政党」への移行期にある―政治学の新旗手が、数多くの「謎」を鮮やかに解く。パワーの源泉と弱点が明らかに!
目次
序章 国民の信頼は一瞬にして失われる!?
第1章 政権交代で何が変わったのか?
第2章 菅義偉官房長官仕様の「官邸」
第3章 安保法制という混迷の政策転換
第4章 政権の性格を変えた2014年総選挙
第5章 安倍首相の言葉と野党党首の言葉
終章 野党が政権を奪い返す条件
著者等紹介
牧原出[マキハライズル]
1967年、愛知県生まれ。東京大学先端科学技術研究センター教授。専門は政治学・行政学。東大法学部卒業後、同学部助手、東北大学大学院法学研究科教授などを経て、2013年から現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おさむ
37
こんなに反対が多いのに続いている安部政権の謎を読み説く。官(邸)高党低の政策決定構造、内閣法制局長官など官僚幹部人事への露骨な介入、内閣官房への権限集中・強化などなど。一番ふにおちたのは、抽象的な決定で内実が未定のため、メディアが消化不良になる。安保法制が典型ですね。2016/05/19
きいち
34
現在の日本を「政権交代がある国」への移行期にあるとした場合、今の自民党は野党→与党を経験したトップランナー、なるほど。こうした近視眼的じゃない引いた視線はとても貴重だ。断絶ではなく継続、そんな落ち着いた事実認識こそ、分断にかかる橋。◇実際私の専門分野でも、地味な政策は民主党時代からの継続(以前の自民党時代との断絶)も多く、その堅実な運営ぶりと目立つ政策の危なっかしさとの落差にずっと違和感があったのだが、この本はその理由を力強く説明してくれた。◇多様な政治参加、その上での投票行動。白黒つけずにとどまること。2016/07/28
樋口佳之
32
16年4月刊の本で読んでしまわないと永久積ん読状態になりそうな雰囲気なので読み切りました。/説かれているのは、政権交代が常態化するなら安倍政権のような強い政権が生まれるのはむしろ普通の事とまとめられるのかな/その結果現れているのがもう地元への利益誘導とも言えない、自身のお友達への利益供与であったりするのはどう考えるかな。/新聞の分析をベースとするからかもしれないけど、マスコミへのコントロールという視点が希薄なのも気になりました。社運を賭けているだろう朝日の報道が無ければ今でも我が世の春状態ではなかったかな2018/04/20
coolflat
15
安倍政権が強い理由。まず継承路線がある。09年の政権交代と12年の政権交代の質的な違いだ。09年の政権交代では、政権交代前の麻生政権と交代後の鳩山政権の間には全くの断絶しかなかった。経験がない上に前政権を全否定し、政策の継承を原則として拒否した。それがあの混乱の原因だ。これ対し12年は、消費増税を柱とする3党合意→谷垣を閣内に取り込んだ政権発足→内閣改造を機に谷垣を党幹部に起用という段階を踏んだ。安倍の政治信条がいかに谷垣や民主、公明から距離があろうが、政権としては過去の遺産を継承している。それが強みだ。2017/04/13
スプリント
12
端的にいうと、一強ではなく、他弱なんですけどね。2018/11/07