出版社内容情報
【社会科学/経済】司馬遼太郎の歴史文学の神髄に迫る「司馬文学を解剖する」、幕末各藩の藩士教育を比較検討し、危機管理の必要性を説く「幕末薩摩の『郷中教育』に学ぶ」、「歴史に学ぶ地震と津波」では大災害にいかに備えるかを論じる珠玉の歴史評論集。
内容説明
幕末日本で唯一GDPを計算していた長州藩のリテラシーの高さ、「いかに想定外をなくすか」―極めて実践的な「郷中教育」に育まれた薩摩藩。先達の叡智から日本の未来を切り開く。
目次
江戸の武士生活から考える
甲賀忍者の真実
江戸の治安文化
長州という熱源
幕末薩摩の「郷中教育」に学ぶ
歴史に学ぶ地震と津波
司馬文学を解剖する
著者等紹介
磯田道史[イソダミチフミ]
1970年、岡山県生まれ。慶応大学大学院卒。静岡文化芸術大学准教授。2003年、『武士の家計簿』(新潮新書)で新潮ドキュメント賞を受賞。『近世大名家臣団の社会構造』(東京大学出版会)で博士(史学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kawa
43
秀作、さすがの磯田先生。歴史読みマニアには堪えられない内容。江戸時代以前の「密集・重兵」戦法の弱点を見極め、「散兵」戦法を採用した大村益次郎の凄み。乃木、大山、児玉ら日本の近代化に貢献した徒士(かち)層。農民・町民のリテラシ-が高く、議論より実を重視する長州、有無を言わせぬ道徳教育の会津、「忠孝の道に大形なし」と「詮議」によって応用力を重視するリアリスト薩摩、鮮やかにお国柄を斬って見せる等々。2021/06/29
Taka
39
歴史の解説。調査に基づく深い内容を分かりやすい言葉で伝えてくれて読みやすい。故郷の滋賀についても良く書いてもらえて嬉しい限り。他の本も読んでみよう。2018/01/22
さきん
36
磯田氏の本を初めて読んだ。忍びや治安、社会、組織を現実身のある数字を交えて説く。大きな震災に備えるために、歴史の記録に学ぶことを強く訴えている。会津の朱子学に基づいた統治、詰め込み教育、長州の御前会議、平等主義、高い識字率から生ずる近代的なシステム、薩摩の郷中教育が担った低い識字率を補うリアリズムから生ずる識人。土佐の分析も是非してほしい。2016/11/12
onasu
36
近世の歴史を専門とされる磯田教授。最近取り組まれている、忍者、地震と津波にも項を割かれて、広く浅くながら興味の尽きない一冊でした。 司馬先生の描く、毛利家の元旦の倒幕の秘事は、ほぼ創作。最後の藩主「そうせい公」、人物評はともかく、御前会議では藩主自らが藩論を決っした(他藩では、まずない)、等など。 最終章「司馬文学を解剖する」では、氏の著作「関ヶ原」を題材に、何処が史実に則していて、何処が創作なのか、敬意を表しつつ解説してくれる。 昨今の歴史小説は、売れ筋狙いで創作の度合いが…、には半分頷けた。2014/04/25
ニコン
31
「古文書がどこにあるか素早く見つけ出せる。正確に解読できる。それにかけては、私は日本最高水準の「古文書スーパーコンピューター」(笑)」と自負する著者の史実コラムです。過労死もあった忍者「甲賀忍者の真実」や会津藩と薩摩藩の教育は対極であった「幕末薩摩の郷中教育に学ぶ」、南海トラフ地震の影響「歴史に学ぶ地震と津波」など読んでみると面白い、ためになるテーマが多い本です。お薦めです。2014/06/07
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