朝日文庫<br> 小箱

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朝日文庫
小箱

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  • サイズ 文庫判/ページ数 232p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784022652560
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

野間文芸賞受賞作。歌でしか会話ができないバリトンさん、遺髪で竪琴の弦をつくる元美容師、講堂では亡くなった子どもたちの魂が成長している。開かれる「一人一人の音楽会」。世の淵に生きる「おくりびと」を静謐(せいひつ)にいとおしく描く著者のど真ん中の長編小説。


【目次】

内容説明

私の住む家は元幼稚園で、小ぶりの講堂、給食室、「安寧のための筆記室」がある。歌でしか会話ができないバリトンさん、息子を失った従姉。耳にぶらさげた楽器が奏でる音楽会とは?世の淵で死を育てる人たちを静謐に愛おしく描く野間文芸賞受賞作。

著者等紹介

小川洋子[オガワヨウコ]
1962年岡山県生まれ。作家。早稲田大学文学部卒業。88年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞、91年「妊娠カレンダー」で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』で読売文学賞、本屋大賞、06年『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、12年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、19年『小箱』で野間文芸賞、26年『サイレントシンガー』で毎日芸術賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ふう

35
心はていねいに大切に扱われなければならないと、小川さんの作品を読むたびに思います。そして「最果てアーケード」を読んだときに感じた居心地のよさを思い出しました。愛する子どもを失った悲しみはいつまでも消えることはありません。その悲しみに居場所『小箱』を作ってあげることで、残された親は何とか生きていけるのかもしれません。死んだ子どもが歩いた道しか歩かない、死んだ作家の本しか読まないという従姉。その従姉の家で「私」と二人で静かに話す場面が、この作品の中でわたしにとって一番心地よい場面でした。外は雨。そこが小箱。2026/10/06

エドワード

31
待望の中編小説。私はある町の元幼稚園に住んでいる。この町には子どもがいない。なぜなのかは語られない。個性的な住民たち。歌でしか会話ができないバリトンさん。子供の遺髪で竪琴の弦を作る元美容師さん。元幼稚園の遊具で見事に遊ぶクリーニング屋さん。「棺の代わりを果たした資料館のケースが、死んだ子どもが成長するための箱になるわけです」という言葉が出て来る。この言葉を受け入れなければこの作品を楽しむことはできない。「一人一人の音楽会」「結婚式」、静かに人生を楽しむ住民たちは幸福だ。純粋に、人々の温もりが伝わってくる。2026/09/17

あんこ

25
単行本に引き続き再読。単行本の表紙も不思議で好きだったが、文庫版の愛らしい鳥も小川さんらしくて魅力的だった。まだ一度しか読んだことがない『小箱』は十分に物語が身体に染み込んでいるとは言い難く、刻み込ませるようにし再読した。この世かあの世かも分からない世界の対極にありそうな歪さやグロテスクさ、欲望をこれでもかというほどに散りばめ、ただそこで懸命に生きている人間への愛を感じられる逸品。小川さんの小説を読んでいる時間は、俗世から離されて余計な音も思考も入らない贅沢な時間を味わえる。2026/09/11

honoka

20
子どもの残酷さ。失った息子にとらわれ続けるひとなど。不思議で独特な視線、感覚のお話。カバーが美しい。2026/10/31

鳥居強右衛門

14
幼稚園の跡地に住む主人公の「私」。その幼稚園の講堂には亡くなった子供の遺品や、供え物が納められたガラス製の「小箱」が並んである。また亡くなった子供の遺骨や遺髪で作ったイヤリング製の楽器を音色を慈しむ為に、人々は街の丘に集まる。主人公の「私」は「墓守」なのか?遺族と亡くなった子供をつなぐ「介添人」なのか・・・小川先生の作品は、皆それぞれが大切にしていて、且つ誰にも犯すことができない「記憶」や「思い出」をテーマに、独特の世界観が、静謐な文体で展開して行く。「小川ワールド」がギュッと濃縮された作品。2026/10/31

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