出版社内容情報
大学入学を機に上京した手塚蓮は、ひょんなことから中野にある銭湯に住み込むことになった。そこにはすでに3人の若者が暮らしていたが、彼らの抱く夢は蓮の目に眩しく映り……。人々の触れ合いを優しく描く、心温まる書き下ろし連作短編集。
内容説明
部屋代不要で朝夕食事付の誘惑に惹かれ、中野の銭湯に住み込むことにした大学生の蓮。そこには、声優・アーティスト・美容師を目指す同世代の3人の若者たちが暮らしていた。まっすぐに夢に向かうその姿は、蓮の目には眩しく映り…。人々の優しさに涙溢れる連作短編集。
著者等紹介
上田健次[ウエダケンジ]
1969年東京都生まれ。2019年、第1回日本おいしい小説大賞に「テッパン」を投稿し、21年、同作を加筆修正しデビュー。23年、『銀座「四宝堂」文房具店』で第18回うさぎや大賞、三洋堂書店文庫アワード「第2回でら文芸」で、でら感動部門第1位を獲得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
98
舞台は中野にある銭湯にてゆったりと展開される人間ドラマです。ふとしたきっかけで銭湯に住み込みで働くコトになった大学生「蓮」は同じく住み込みで働くアーティストを目指すホストの「ケロ」、声優を目指すマレーシアの女の子「ユー」、一人前の美容師になりたい「葵」と仲良くなっていきます。ココロ優しいおかみさんと焚き付け釜を見守る厳しくも温かい「シゲ」さんとの交流もほっこりします。特に大きな出来事はなさそうですが、ゆったりとした時間の流れを落ち着いて堪能できる癒しの作品かなと。ストレスなくすっきり読める連作短編でした。2025/02/28
チーママ
71
中野の銭湯に住み込むことになった大学生の蓮が、出会った人々とのふれあいを通して成長していく姿を、四季折々のできごとと共に描いていくハートウォーミングな連作短編集。中野は交通の便も良く、商店街も充実していて学生にも人気の街。中野ならこんな人情味あふれる銭湯や素敵な出会いもありそうな気がしてくる。二浪の末に希望大学に入った蓮は何をしたくてどんな学部に入ったのか描かれていなかったが、目的に向かって羽ばたいていった住み込み仲間の先輩たちを見て何を思ったのか。続編があればその辺から描いてほしい。2025/03/08
カブ
42
「銀座四宝堂文房具店」の著者上田健次氏の銭湯を舞台にした連作短編集。中野の銭湯「薬師湯」に住み込みで働く若者が夢を追う内容は、眩しいくらい真っ直ぐだ。応援する周りの人々が温かくほっこりする。身体も心も温まるようなちょうど良い湯加減です。2024/09/05
陽子
42
昭和の時代を想起させる銭湯「薬師湯」。二浪の末、上京した蓮が、ひょんな出会いから銭湯屋の下宿人になる。夢を追う同居下宿の若者たち。優しいオカミさん、釜番のシゲさん、常連の人々との温かな繋がり。登場人物らのエピソードは胸がジーンとする話がたくさん。今はあまり見かけなくなった銭湯絵のこと。古き良き時代が彷彿としてくる。「薪で沸かした湯はやわらかい」自宅周辺にもまだ、そんな昭和の香りを残す銭湯があり、幸せを感じた。中野・新井薬師近辺には、このドラマのモデルの銭湯があるのかな。入浴したように身も心も温まる一冊。2024/07/21
たるき( ´ ▽ ` )ノ
37
ほのぼのとした気持ちで読了。薪で焚くお風呂、入ったことないな。こんな気持ちのよい銭湯があるなら、是非とも行ってみたい!!2024/11/22