出版社内容情報
評判の団子屋をいとなむ、おひでと嘉六。元遊女のおひでは身重の体で商売に励むが、嘉六は過去にとらわれ捨て鉢な生活を送る。木戸番小屋のお捨と笑兵衛は、夫婦の窮地を救おうと奔走する(「新地橋」)。傑作時代小説シリーズ第3弾。
内容説明
煙草屋の政吉は苦労のすえ、人気狂歌師に上り詰めるが、次第に女房や狂歌仲間との溝が深くなっていく(「藁」)。腕利きの仕立屋のお若は、妻子持ちの男への思いを断ち切れず苦悩する(「たそがれ」)。不器用に懸命に生きる江戸の庶民を描いた傑作長篇2本。
著者等紹介
北原亞以子[キタハラアイコ]
1938年東京生まれ。69年「ママは知らなかったのよ」で新潮新人賞を受賞しデビュー。89年『深川澪通り木戸番小屋』で泉鏡花文学賞、93年『恋忘れ草』で直木賞、97年『江戸風狂伝』で女流文学賞、2005年『夜の明けるまで』で吉川英治文学賞を受賞。13年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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めがねおじさん
1
江戸深川澪通りの木戸番小屋に暮らす夫婦を中心に展開する人情小説シリーズ第2弾。孤児で荒んだ生活を送っていた男が、やがて身を起こし煙草屋の店を構え、さらに人気狂歌師へと成り上がるが、そこから躓きが始まりやがて転落へと進む様を克明に描く「藁」。自立した江戸のキャリアウーマンとも言うべき仕立て屋の女。しかしながら妻子持ちの男との腐れ縁が断ち切れず、行くたてに不安を感じながら送る日々を描いた「たそがれ」。何れも木戸番小屋夫婦が心の拠り所となり癒しの存在となっている。江戸下町情緒と共に庶民の哀歓が見事に描かれた秀作2025/03/27
ekoeko
1
「藁」、「たそがれ」2話。2024/07/10