出版社内容情報
天下分け目の関ヶ原、ついに兵は動き始めた。「古今伝授」のほかに、「秀吉の密書」という切り札を持っていた細川幽斎の壮大な計略は果たして実現されるのか。東軍・西軍の争いに公武の対立という視点を組み入れた不朽の名作の新装版。
内容説明
丹後田辺城に籠城し、朝廷から和議の勅命を引き出した幽斎は、家康に密使を送る。東西両軍が対峙する美濃尾張を抜け、家康からの誓書は届くのか。公武の対立という独自の視点から関ヶ原合戦前夜の舞台裏を描いた名作の新装版。
著者等紹介
安部龍太郎[アベリュウタロウ]
1955年福岡県生まれ。歴史小説家。89年から1年間「週刊新潮」で「日本史 血の年表」(『血の日本史』に改題)を連載しデビュー。2005年『天馬、翔ける』で中山義秀文学賞、13年に『等伯』で直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さつき
69
いや〜!面白かった!大戦を仕掛ける歴史の立役者達の背後に策謀をめぐらす公家や武士がいて、さらに彼らに使われる末端の人々がいる。どの人物も主人の思惑とは別にそれぞれの意志があり、使命を全うしようと奮戦する姿には涙を誘われます。石田方、細川家、前田家、そして豊臣家、それぞれの立場視点が臨場感たっぷりに描かれているので、誰にも味方したくなりました。2023/08/23
しさあ
0
三成らの西軍vs家康の東軍という、いわゆる【関ヶ原】の裏で躍動する細川幽斎、そのさらに影となり手足となる多門や夢丸、それに対する源兵衛や春光。小説はもちろんフィクションではあるが、大きな歴史のうねりの中には、少なからず表に出ない数々の人の生死を賭したドラマがあると改めて思う。そういう意味で、単なるフィクションとは片付けられない、重厚なお話で大変興味深かった。2024/09/10