出版社内容情報
大阪やパリ、スリランカ紀行から、学校に行く意味を考える「小学校」、故ジャニー喜多川氏への思いを綴った「浄土」まで、広義の旅をテーマにした著者初のエッセイ集が待望の文庫化! 著者文芸誌初連載のエッセイ15編と旅する掌編小説3編に加え、文庫版には、新たに文庫化に際しての思いを著者が書き下ろした文庫版あとがき「刊行から二年を経て」、さらには作家の朝吹真理子氏による解説も収録! 単行本同様に著者撮影の写真を使ったカバーも単行本からデザインを一新します。
内容説明
キューバ、大阪、そしてパリ紀行。一瞬のブラジル体験に、身体の旅、思索の旅…。10代より葛藤を抱えながら旅先で徐々に自らの道を見据えていく。すがすがしい読後感をもたらす、ある青年作家の思考の道程。広義の旅をテーマにした著者初のエッセイ集。
目次
キューバの黎明
大阪
釣行
肉体
岡山
ブラジル→京都
ニューヨーク
時空
小学校
スリランカ
渋谷
パリ
ホンダスティード400
無心
浄土
未定
著者等紹介
加藤シゲアキ[カトウシゲアキ]
1987年生まれ。歌手、俳優、作家。青山学院大学法学部卒業。NEWSのメンバーとして活動しながら、2012年1月に『ピンクとグレー』で作家デビューを果たす。以来、精力的に執筆活動を続け、21年『オルタネート』で吉川英治文学新人賞、高校生直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
クプクプ
81
この作品は私はハードカバーで読んでいて、今回、文庫化で2度目の読書をしました。前回はTrip8の「小学校」の中で「明日は学校に行こう」と思った加藤シゲアキに強く共感しました。しかし、今回、私がいいと思ったのはTrip11の「パリ」です。私はパリへ行ったことがなく、もちろんノートルダム大聖堂の火災もテレビで見ただけです。2011年にパリへ行った加藤シゲアキはたくましく成長しました。紀行文にパリを載せると成功します。パリには野菜のアーティチョークのオブジェがあるとこの本を読んで知りました。(つづく)2022/11/11
ひらちゃん
44
旅をテーマにしたエッセイと短編小説。彼のエッセイは初めて読んだが、人となりが表れていてとても真面目な印象。最近では直木賞を狙えるまでになった事に素直に嬉しい。アイドルの面ばかりでなく、彼個人の人生が垣間見えてよかった。多忙な中での旅はきっといい活力になっているのだろうな。2024/04/07
カブ
41
ジャニーズのタレント加藤シゲアキ氏の書く初エッセイ。小説は何冊か面白く読ませてもらったが、エッセイもなかなかやるじゃない。旅の、特に外国の話は知らない場所に連れて行ってもらったような感じ。釣りに関しては、ご本人の入れ込みようがよくわかる。2022/11/27
ゆみのすけ
30
広い意味で旅をテーマにしたエッセイが15編と掌編小説3編が収録。キューバ、大阪、スリランカなどを旅したエッセイもいいけれど、不登校の少女に「どうして学校に通わなければならないのか」と問われ、真摯に答えた「小学校」、亡くなったお祖父様との思い出を綴った「岡山」の章がとてもよかった。アイドルとしてキラキラした筆者の一面は一般に認知されているが、ここにはそこからは見えない一面が見えた。目の前の道を一歩ずつ堅実に歩く人なんだなと感じた。2024/01/03
みや
28
単行本既読。「歌って踊る方」と「書く方」2人の孫がいると思いこむ認知症の祖父と久々に会う『岡山』が再読でも一番好き。「どちらさまですか」と訊かれるが、「書く方」と伝えた途端に思い出す場面が切なくも温かい。前章『肉体』での「人の命は子供から子供へとつながる円」を受けて尚更、祖父・父・著者の距離感に感慨深くなった。『パリ』で鼻血やカツアゲの話は羅列するだけで大して触れず、VEGETABLESがアーティチョークを指す話に筆を割くのが作家・加藤シゲアキらしくて面白い。きっと前者は「歌って踊る」彼が話すのだろう。2023/02/02