出版社内容情報
アパートの一室で発見された緊縛師の死体。重要参考人として、刑事・富樫が惹かれていた桐田麻衣子の名が挙がる。犯人は誰か。事件の背後にあるものとは。『美しい星』など三島作品を手掛ける訳者サム・ベットによる米国版の刊行も決定。世界が注目する中村文学の到達点!
内容説明
アパートの一室で発見された、ある“緊縛師”の死体。参考人の桐田麻衣子は、刑事・富樫が惹かれていた女性だった。現場を偽装する富樫。全てを見破ろうとする同僚の葉山。やがてある“存在告白”が綴られた驚愕のノートが見つかり、一つの事件が思わぬ境地へと飛翔していく。
著者等紹介
中村文則[ナカムラフミノリ]
1977年愛知県生まれ。福島大学卒。2002年『銃』で新潮新人賞を受賞し、デビュー。04年『遮光』で野間文芸新人賞、05年『土の中の子供』で芥川賞、10年『掬摸“スリ”』で大江健三郎賞受賞。『掬摸“スリ”』の英訳が米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの2012年の年間ベスト10小説に選出される。14年、日本人で初めて米国デイビッド・グディス賞を受賞。16年『私の消滅』でドゥマゴ文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Junichi Yamaguchi
33
『恐らく、この世界に神はいない』… 麻縄と麻薬。 中村さんの描く虚無の世界。 ざわつく読書。 幸福と破滅には分かりやすい境界線があるはずなのに時として簡単に跨いでしまう。 戻ることは出来ないのにね。 変わらずに難解な中村文学。 それに触れたいと思うことは、もう麻縄に縛られていることと同義か。。2021/09/06
ピロ麻呂
30
電車では読めない💦…純文学の官能ミステリー✨縄フェチ?縛る、縛られる…で快感を得る気持ちは分からないけど、とにかくその描写がエロい💦まぁ、中村文則作品は性描写、宗教、天皇制などのタブーに踏み込むものが多いからなぁ。2021/08/20
とみかず
23
そんなに、厚くはない一冊に、性、死、精神、暴力、、、いろいろなテーマがてんこ盛り。息苦しく、読み止まりそうになりながら、最後まで読み切れてしまう。不思議。あとがきで、著者の描いたイメージを少し理解できた気がする。。。読む度に、印象と感想が変化しそうな一冊でした。2023/04/22
to boy
19
久しぶりの中村さん。文章、言い回しは著者らしく自省や内省が多用されていて独特の感覚。でも、内容は性に振り回される人たちであったり神道やら天皇制だったりで話が大きくなり過ぎて受け止められない。初期の作品のほうが私は好きです。2021/11/11
ヒロ姐
17
途中から理解できなくなって次の頁を捲ることが苦痛だったこの作者はとても好きだし特別な作品とのことだったので楽しみにしていたのだが・・・。本文最後の2行とあとがき(文庫解説にかえて)の終わり4行で辛うじて嫌いにならずに済んだ。少しリハビリが必要かも知れない。2021/08/16