出版社内容情報
幼い頃から「犬になりたい」と切望する八束房恵は、玉石梓という理想的な犬の飼い主に出会い、「あの人の犬になりたい」と願うようになる。そこへ謎の男・朱尾献が現れ、「犬化願望を叶えてやる代わりに魂をよこせ」と契約を迫る。読売文学賞を受賞した傑作長編小説。
内容説明
幼い頃から「犬になりたい」と切望する八束房恵は、玉石梓という理想的な犬の飼い主に出会い、「あの人の犬になりたい」と願うようになる。そこへ謎の男・朱尾献が現れ、「犬化願望を叶えてやる代わりに魂をよこせ」と契約を迫る。第59回読売文学賞受賞作。本の雑誌が選ぶ文庫ベストテン第1位(2010年度)
著者等紹介
松浦理英子[マツウラリエコ]
愛媛県生まれ。青山学院大学文学部卒。1978年「葬儀の日」で文學界新人賞、94年『親指Pの修業時代』で女流文学賞、2008年『犬身』で読売文学賞、17年『最愛の子ども』で泉鏡花文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えみ
49
想像の上を行くファンタスティックなストーリー!謎過ぎる展開に、気味悪い…けど面白い、というこちらの感情まで謎に覆われる。何故おかしいのか何処がおかしいのか最早わからないほどのぶっ飛んだ小説ここにあり。犬になりたい女性の前に現れた理想的な飼い主。というどう考えても危ない女が主人公。そして「あなたの犬になりたい」ってだいぶエキサイティングな感情。でも、一番驚くのは犬に憧れる彼女にある契約を持ち掛け、成立の際は「犬にしてあげる」という信じがたい言葉を放つ謎の男の存在。凄い勢いで夢の犬化に近づいた女の選択は驚愕。2021/03/17
yumiha
45
読友さんが2023年のベストというレビューにつられ、猫派なのに選書。何度もオエーッ!ええっ!と叫んでしまうほどぶっとんでいた。犬好きの究極の選択は、犬そのものになること、それを実践してしまう主人公の房恵はフサになってしまった!猫になりたいと思うことはあるけれど、実際にそうなってしまったら、戸惑うこと必至の私は生温い猫派だね。そして、登場人物のネーミングが『里見八犬伝』ぽいのを初めてとして、語源、彫刻、ハーブティー、音楽、本など犬に関する小ネタもあれこれ知った。フサも飼い主の梓も、今後どうなるの?と下巻へ。2024/01/02
サム・ライミ
3
犬になりたい女性が魂と交換に犬になり犬好きの知人に飼われる話。2023/12/03
Ramsey
3
人間が犬になるというユーモア溢れる作品だと勝手に想像していた自分がバカだった!なんとも深い作品!これを読めば犬の心情がわかる⁈っていうくらい犬の世界に入り浸れる作品でした。2020/02/04
あおぼしまどか
2
松浦理英子らしい変態性を感じる。犬好きではなく犬になってあの人に飼われたい…そんな欲望は誰にでもあるのかもしれないね2021/04/29