出版社内容情報
【文学/日本文学小説】「どこかでお会いしましたっけ?」少女の目は、左右で色がちがっている。「もうわすれたの? きみが私を殺したんじゃないか」(表題作から)。SF・ファンタジー・ミステリ……夢の異空間へと誘う、バラエティーに富んだ異色 ひとり アンソロジー。
乙一、中田永一、山白朝子、越前[オツイチ、ナカタエイイチ、ヤマシロアサコ、エチゼエヌ]
著・文・その他
内容説明
「どこかでお会いしましたっけ?」。そして気づく。少女の目は、左右で色がちがっている。右の虹彩は黒色だが、左の虹彩は赤色。オッドアイ。「もうわすれたの?きみが私を殺したんじゃないか」(表題作より)―切なく妖しい夢の異空間へと誘う、異色“ひとり”アンソロジー。
著者等紹介
乙一[オツイチ]
1996年「夏と花火と私の死体」でジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞しデビュー。著書多数
中田永一[ナカタエイイチ]
2005年「百瀬、こっちを向いて。」でデビュー
山白朝子[ヤマシロアサコ]
2004年「長い旅のはじまり」でデビュー。怪談専門誌『幽』を中心に執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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hit4papa
97
著者らの共通点は言うに及ばずですが、作品のトーンとしてはちょっと切ない系です。「山羊座の友人」いじめの加害者を殺してしまった同級生との逃避行。高校生二人に芽生えた友情と、その背景の残酷な真実を、不思議体験と絡めるあたりが上手いですね。「トランシーバー」3.11で妻子を失った男は、いつしかおもちゃのトランシーバーから聞こえる幼い息子の声に耳を傾けるようにります。切なさ満開!「エヴァ・マリー・クロス」【人体楽器】を追うジャーナリスト。アメリカンテイストのグロテスクさ極まった黒さ(!)が素晴らしいです。2023/12/12
アッシュ姉
76
遊び心のある贅沢ひとりアンソロジー。中田さんと越前さんは初めまして。作風の違いはもちろんあるが、作者当てクイズには正解できそうにない。まだまだ修行が足りぬ。どれも乙一らしさが感じられ、白黒両方堪能できて面白かった。「メアリー・スーを殺して(中田)」「トランシーバー(山白)」「山羊座の友人(乙一)」が特にお気に入り。2019/04/18
アッシュ姉
74
再読。どの名義も甲乙つけがたい面白さで印象深いアンソロジー。中田さんの「メアリー・スーを殺して」はタイトルが絶品で表題作にふさわしい。山白さんの「トランシーバー」は何度読んでも涙ぐんでしまう。「エヴァ・マリー・クロス」の越前さんは他作品も読んでみたい。2023/09/14
masa
69
生きていてもつまらなくて、だからって「なぜ生まれてしまったのか」なんて考えてしまう日々に自己嫌悪してた。変身願望すらも抱けずに、ご都合主義な妄想に溺れては、冴えない僕の身代わりメアリー・スーを憎んでた。消えてメアリー。のたうち回り呼吸を繰り返すことで、どうにか世界と折り合えはじめたつもりだ。でもあの日の少年を忘れたら自分でいられなくなりそうさ。消えないでメアリー。なあ?メアリー?君の代わりなどどこにもいない。だが君の役はきっと誰かが埋める。君を思い出すために、僕は物語の行間を余白をいつまでも大切に護るよ。2021/11/20
佐島楓
64
少年少女のふわっとしたところと、ピリピリするような緊張感の同居が面白い。複数の筆名を使い分ける作家は過去も多くいたが、この方はどういう狙いでやってらっしゃるのか、伺ってみたい気もする。2019/01/20