出版社内容情報
【文学/日本文学小説】2018年──下流に堕ちた日本人と、安い労働力として呼び寄せられた移民たちは「円」を捨て、電子貨幣による非課税の経済圏を作り始める。そんな環境の中で、若いフリーランスのITエンジニアたちが時代に抗い、世界を切り開いていく近未来青春サスペンス。
藤井太洋[フジイタイヨウ]
内容説明
「フリービー」と呼ばれ、仮想通貨「N円」による地下経済圏で生きるしかない若者たちがあふれる近未来の日本。木谷巧も、課税されないN円取引に会計システム変更する“地下”の仕事で報酬を得ている。だが、彼が引き受けたある仕事が、思わぬ事件の引き金となり…。
著者等紹介
藤井太洋[フジイタイヨウ]
1971年、鹿児島県生まれ。作家。2012年に個人で電子書籍『Gene Mapper』を発表してデビュー。2015年『オービタル・クラウド』で日本SF大賞、星雲賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
75
表の経済からあふれ出た大勢の若者や移民たちが暮らす近未来の東京。彼らが生きるのは仮想通貨「N円」による地下経済圏。そこで暮らす「フリービー」の木谷と鎌田が思わぬ事件に巻き込まれる。「オービタルクラウド」ほどのスケール感はないが、今回も面白く読ませてもらった。近未来の想定であるが、今すぐ起こってもおかしくない世界。数年前の「ビットコイン」事件を思い起こさせる。裏の社会だからこそ。個人の信頼と繋がりが重要という考えはなるほどなと思った。藤井太洋に外れなし。★★★★2017/01/20
mr.lupin
61
近代未来 仮想通貨 難民 表社会そして裏社会。題材的にはメッチャ面白そうだったけど、大まかな流れはわかったものの、う~ん今一専門用語?が多く良く理解できずに読了。ロードバイクの疾走感だけは妙に伝わってきたかな。☆★★★★2017/10/13
Rin
54
ビッグデータコネクトから2作目。今回も専門用語が飛び交う部分はちょっと難しくかったけどテーマは面白かった。またビットコインの問題がなぜあれほど大きく話題に上っていたのかも少し理解できた。仮想通貨というのは私にとっては馴染みがなく遠く感じているけど、もしかすると今後日本でも本の世界のように普及するのかも。格差が広がる世界で必死に生きる3人は個性的でビッグデータよりも読みやすかった。自分の能力を高め生き抜こうとする彼らを見ていると、知らない・わからないと言うだけでなく、少しずつでも学んでいこうと思いました。2018/04/04
『よ♪』
50
地下経済の世界──2013年に書かれた2018年の話。東京オリンピック景気に湧く東京。政府の愚策に生活格差は広がり、雇用増加に反して外国人労働者も日本の若いエンジニアも貧困に喘いでいた。それでも尚税金をむしり取ろうとする"国"への反抗、課税無しで流通する仮想通貨"N円"。投機などには利用できないという強い理念が背景だ。N円の"支払い"トラブルに巻き込まれた若者、システムエンジニアの巧、webデザイナーの鎌田、プログラマーの恵。頭脳と技術でカラっと明るく逞しく解決する様が心地好い。現実は今、2022年──。2022/09/03
キャプテン
42
★★★☆☆_仮想通貨により生まれた地下都市で生きる青年達の戦い。世界観作りは天才の一言。作品としての盛り上がりに欠けるため、そこそこ楽しめる小説に落ち着いてしまっている。続くのかな?続くのであれば、次作以降に大きな盛り上がりがやってくることを祈ります!2016/08/06