出版社内容情報
英国と日本の文化が融合した世界「V.ファー」の「アナザーヒル」では、死者と交流する「ヒガン」と呼ばれる行事が毎年行われている。「V.ファー」で連続殺人事件が発生した年、聖地である「アナザーヒル」でも事件が起きる。犯人探しが進むなか、不思議な風習に彩られた「アナザーヒル」が変質し始める ――。著者初の上下巻作品となった大作ファンタジーが待望の文庫化。解説は漫画家・萩尾望都氏。
内容説明
懐かしい故人と再会できる場所「アナザー・ヒル」。ジュンは文化人類学の研究のために来たが、多くの人々の目的は死者から「血塗れジャック」事件の犯人を聞きだすことだった。ところがジュンの目の前に鳥居に吊るされた死体が現れる。これは何かの警告か。ジュンは犯人捜しに巻き込まれていく―。
著者等紹介
恩田陸[オンダリク]
1964年、宮城県生まれ。早稲田大学卒。91年、第3回日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となった『六番目の小夜子』でデビュー。2005年、『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞、第2回本屋大賞。06年、『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門賞。07年、『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
213
死者と生者が行き交う国。英国と日本の混じった街。『お客さん』(死者のこと)が訪れるというヒガン、独特の世界で起こる摩訶不思議で薄気味悪い物語。この世界特有の役割、儀式、習慣、人物像が実際にあるかもしれないという感覚をかもし出す。人物もそれぞれ過去を持ち、少しずつ明かされるスリル。普段は厳かに行われるというヒガンが、血塗られた惨劇に見舞われる。幽霊が登場するミステリ?上巻はとにかく良かった。下巻が楽しみ。2019/09/11
さてさて
212
日本文化が他国に受容されるとしたら、何が、どのように、どのような形で受け入れられていくだろうか。恩田さんなりの考察を見ることができるこの作品。それは図らずも恩田さんがそれぞれの文化をどのように見ているかに触れることでもあり、とても興味深いものです。中でも一番興味深いと感じたのは『向こう』に行くという考え方。『ヒガン』という日本の神秘性を感じる考え方に似たものを英国を舞台にした物語に持ち込んだこの作品。ミステリーのようなファンタジーのような茫洋とした世界観全開の素晴らしい展開にすっかり魅せられた作品でした。2021/11/23
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
156
【図書館本】黄昏れの孤島アナザーヒル。“ヒガン”の間、人はそこで死者と過ごすことができる。宗教的で荘厳で、決して侵してはならない神聖な行事に、あるまじき不穏な影の数々。 文章の至るところから漂うイギリスの香りに絶妙に日本の伝統が融合していて、たまらなく郷愁を誘ってくる。 世界観がすごくしっかりしているので、本当にある場所を舞台に話が展開している気分。 初めましての恩田さん、なかなか極上のファンタジーで楽しませてくれます。これからどう展開するのか、わくわくしながら下巻へ。2018/09/19
ダイ@2019.11.2~一時休止
131
死者に会える聖地でおこる殺人。猫が優秀ですなぁと思いながら下巻へ。2016/12/04
青葉麒麟
108
イギリスと日本の伝統的な神事が混ざってて良い雰囲気。オリエンタルとは一寸違うと思うけど。お稲荷さんへの御供物がオムレツってのには笑えた。2011/12/15