内容説明
おばさんとすごしたハイチでの生活は、愛とおとぎばなしにあふれていた。12歳を迎えたソフィーはニューヨークの母親に呼びよせられる。やがて明かされる、ハイチの女性たちに受け継がれてきた哀しみの歴史から、ソフィーは自由になる道を模索しはじめる。みずみずしく色彩ゆたかにえがく感動のベストセラー。
著者等紹介
ダンティカット,エドウィッジ[Danticat,Edwidge]
1969年ハイチ生まれ。ハイチでおば夫婦に育てられ、12歳で両親のもとに渡米。バーナード大学でフランス文学位を取得。1995年に短編集“Krik? Krak!”が全米図書賞にノミネートされる。惜しくも受賞はのがしたが、ブラウン大学大学院修了作品だったことから、新たな才能の登場と話題となる。1998年の“The Farming of Bones”で再び全米図書賞の最終候補となる。ニューヨーク在住
玉木幸子[タマキサチコ]
聖心女子大学卒。神田外語学院講師を務めるかたわら翻訳にたずさわる。東京都在住
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感想・レビュー
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どんぐり
77
ハイチ出身の米国作家の長編デビュー作。ダンティカ10冊目。版元は出版事業を撤退したDHC。ハイチの移民物語で、女から女へいのちをつなぐ物語だ。おばとハイチで生活するソフィー。赤ん坊の時に別れたきり会っていない母親からニューヨーク行きの航空チケットが届き、実母と暮らす生活が始まる。トントン・マクートが闊歩するキューバ、サトウキビの林の中で強姦されて自分を産んだ母親の秘密。母親にとってソフィーはあのときのことを思い出させる回路だ。処女は守られているかと日常的に陰部を検査する母親。→2025/05/17
やまはるか
12
母から娘へと引き継がれる処女崇拝の因習、ハイチを舞台に描かれる祖母からひ孫にいたる女たちを描く。マフィーを傷つけた母親が死んで、「これで自由になったかい?」と母を傷つけた祖母が孫のマフィーに訊く。母親が死ななければ、女が一人前にならない国もあるんだ。夜耳をすますと、母親が物語し、必ずこうたずねる国もあるんだ。「ウリベレ?娘よ、自由になったかい」母や祖母に続く女たちの系譜を思って頭を垂れた。2025/06/10
Mark.jr
4
<おばとハイチで生活していたソフィーは、12歳の頃からニューヨークで母親と暮らすようになる。母親はある過去から性的なトラウマを抱えていたが、やがてソフィーもハイチの忌まわしい因習によって同様のトラウマを背負う...。> ハイチで生まれたこと、女性であること、そしていずれ自分も母親になるということ。少なくとも、著者ならでは作品なのは間違いないです。 2020/01/06
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