出版社内容情報
土佐の商家に生まれながら植物学への情熱に目覚め、学問のため東京へ上った牧野富太郎。並外れた学者魂で研究に没頭するあまり生家の財産を使い果たす有り様だったが、菓子屋の娘・壽衞との出会いがその後の彼の人生を大きく変えていく。異能の学者の異なる側面を描いた傑作評伝。
内容説明
土佐の商家に生まれながら植物学への情熱に目覚め、東京に出た牧野富太郎。菓子屋の娘・壽衞との出会いがその後の彼の人生を大きく変えていく。研究に没頭するあまり生家の財産を使い果たし、学内でも敵を作る牧野だったが…。異能の学者の新たな側面を描いた傑作評伝。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のびすけ
36
駆け足の物語でしたが、とても面白かった。富太郎は金銭感覚がズボラで、家のお金も実家岸屋のお金も、惜し気もなく植物研究に注ぎ込んでしまう。そんな富太郎を、壽衛は小言も泣き言も言わずに献身的に支え、苦しい生活を楽しんでさえいた。富太郎が研究に没頭し、後世に名を残す植物研究家になれたのも、全ては壽衛さんの存在あってこそだった。富太郎を支え続けた壽衛さんの波瀾万丈の物語と言っていい。壽衛さんの肝の据わり方は尋常じゃない。朝ドラ「らんまん」が、この先益々面白くなるのは間違いない。2023/06/12
わむう
24
素晴らしき夫婦愛。夫の才能を心から愛した壽衛。「あなたと生きる人生はおもしろかった」2023/06/10
双海(ふたみ)
18
土佐の商家に生まれながら植物学への情熱に目覚め、学問のため東京へ上った牧野富太郎。並外れた学者魂で研究に没頭するあまり生家の財産を使い果たす有り様だったが、菓子屋の娘・壽衞との出会いがその後の彼の人生を大きく変えていく。私が学生時代に大学図書館で初めて借りた本が牧野の『植物知識』(講談社学術文庫)だった。その後、自叙伝も読んだ。幾度となく妻壽衞への感謝の言葉が記されていた。明治の女性の凛とした強さが眩しい。2023/02/27
milk tea
17
「らんまん」と同時進行で読んだ。 壽衞さんは13人の子供を産んだ。享年55。 富太郎は94才で生涯を閉じた。 研究が好きすぎて、好きなように生きた人。 それを支える壽衞さんの肝の据わり方は、ただならぬもの。 新種にスエコ笹と命名するところはグッときました。 後世に残したものは膨大である。2023/09/18
Oh!やまびこ
9
NHK連続テレビ小説「らんまん」の影響を受け、牧野富太郎という人物をもっと知りたくなって本書を手にした。牧野富太郎の名が今日に至るには、妻「壽衛」との出逢いが有ったからこそなのだと感じた。史実に多少の創作を加えて本作品は仕上げられているとのことであるが、牧野夫妻の様子が上手く描かれている。本書の主人公は牧野壽衛。宮城で発見の新種の笹に「スエコザサ」と命名するなど牧野夫妻の仲が偲ばれる。更に牧野富太郎なる人物に対し興味が湧きあがってくる。2023/06/27