出版社内容情報
土佐の商家に生まれながら植物学への情熱に目覚め、学問のため東京へ上った牧野富太郎。並外れた学者魂で研究に没頭するあまり生家の財産を使い果たす有り様だったが、菓子屋の娘・壽衞との出会いがその後の彼の人生を大きく変えていく。異能の学者の異なる側面を描いた傑作評伝。
内容説明
土佐の商家に生まれながら植物学への情熱に目覚め、東京に出た牧野富太郎。菓子屋の娘・壽衞との出会いがその後の彼の人生を大きく変えていく。研究に没頭するあまり生家の財産を使い果たし、学内でも敵を作る牧野だったが…。異能の学者の新たな側面を描いた傑作評伝。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
昼寝ねこ
113
神木隆之介・浜辺美波主演の朝ドラ『らんまん』を見ていたので興味を持った。本書は牧野富太郎の伝記そのものではなく、あくまで事実を基にした伝記小説。平易で読みやすいので朝ドラ同様に入門編として考えた方がいいかもしれない。詳しく知りたければ本人の自叙伝や研究書が多数出ている。この小説で牧野富太郎と壽衞さんの人柄と覚悟は充分に伝わった。窮地に陥っても救いの手が現れるのはその人柄のせいだろう。研究にストイックではあっても我儘放題な人生を送った牧野富太郎が羨ましい。壽衞さんあってこその富太郎だったのだと強く感じた。2024/12/05
のびすけ
37
駆け足の物語でしたが、とても面白かった。富太郎は金銭感覚がズボラで、家のお金も実家岸屋のお金も、惜し気もなく植物研究に注ぎ込んでしまう。そんな富太郎を、壽衛は小言も泣き言も言わずに献身的に支え、苦しい生活を楽しんでさえいた。富太郎が研究に没頭し、後世に名を残す植物研究家になれたのも、全ては壽衛さんの存在あってこそだった。富太郎を支え続けた壽衛さんの波瀾万丈の物語と言っていい。壽衛さんの肝の据わり方は尋常じゃない。朝ドラ「らんまん」が、この先益々面白くなるのは間違いない。2023/06/12
わむう
25
素晴らしき夫婦愛。夫の才能を心から愛した壽衛。「あなたと生きる人生はおもしろかった」2023/06/10
双海(ふたみ)
19
土佐の商家に生まれながら植物学への情熱に目覚め、学問のため東京へ上った牧野富太郎。並外れた学者魂で研究に没頭するあまり生家の財産を使い果たす有り様だったが、菓子屋の娘・壽衞との出会いがその後の彼の人生を大きく変えていく。私が学生時代に大学図書館で初めて借りた本が牧野の『植物知識』(講談社学術文庫)だった。その後、自叙伝も読んだ。幾度となく妻壽衞への感謝の言葉が記されていた。明治の女性の凛とした強さが眩しい。2023/02/27
milk tea
18
「らんまん」と同時進行で読んだ。 壽衞さんは13人の子供を産んだ。享年55。 富太郎は94才で生涯を閉じた。 研究が好きすぎて、好きなように生きた人。 それを支える壽衞さんの肝の据わり方は、ただならぬもの。 新種にスエコ笹と命名するところはグッときました。 後世に残したものは膨大である。2023/09/18
-
- 和書
- おばちゃんの進む道