朝日文庫
近代化と世間―私が見たヨーロッパと日本

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 189p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784022618115
  • NDC分類 230.04
  • Cコード C0195

内容説明

かつて日本と同様な「世間」が存在していたヨーロッパが、なぜ個人を重視する社会へと転換したのか。個人の誕生の背景には何が存在していたか。従来の歴史学が語らなかった生活の風景に踏み込み、日本人の生き方を問い続けた著者による総決算。西洋中世史研究と日本社会論とを鮮やかに連結させた、碩学の遺著。

目次

第1章 西欧社会の特性
第2章 日本の「世間」
第3章 歴史意識の東西
終章 ヨーロッパと日本

著者等紹介

阿部謹也[アベキンヤ]
1935年東京都生まれ。歴史学者。一橋大学大学院博士課程修了。一橋大学学長、国立大学協会会長などを歴任。西洋中世社会史研究の第一人者として活躍し、「世間」をキーワードにした日本社会論でも話題を集めた。2006年9月逝去。1980年『中世を旅する人びと』でサントリー学芸賞、1981年『中世の窓から』で大佛次郎賞受賞。1997年紫綬褒章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

この商品が入っている本棚

1 ~ 1件/全1件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

あきあかね

19
 著者の専門はヨーロッパ中世史だが、個人を重視する西洋の「社会」との比較で、日本に特有の「世間」というものの存在を考え続けてきた。明治以後の近代化、西洋化はあらゆる面で行われたが、人間関係だけは従来のまま存続した。欧米とは異なり、義理人情の「世間」の中では個人は不安定な立場に置かれ続けてきた。 このように一人ひとりの生き方を規定する「世間」という存在は、「自分がいかに生きるべきか」を常に問い続けてきた著者にとって、必然的に辿り着く問題だったのだろう。学会では「世間」の研究は無視され続けてきたというが、⇒2021/06/05

刳森伸一

3
要約すれば、世間という個を蔑にする日本独自の文化を単に批判するのではなく、世間という文化を意識しながら個の確立を目指さなければならないことを説いていると思う。納得できないこともあるのだけど、個人的に抱えている悩みにも繋がっているところがあって興味深く読んだ。2016/07/31

スズツキ

3
直前に読んだ『教養とは何か』とテーマや参考資料などがかなり被っていた。講演の丸山真男論は面白かった。2015/05/13

うえ

2
「日本の社会は明治以後に欧米化したといわれている。欧米化とは近代化という意味である…国の制度のあり方から、司法や行政、郵政や交通、教育や軍事にいたるまで急速に改革された…全面的に行われたが、それが出来なかった分野があった。人間関係である」欧州で「キリスト教の教義は感覚の次元では人々を納得させることは出来なかったから中世後期の人々は伝統的な思考方法とキリスト教の教義の間で揺れ動いていた」「中世における踐視のあり方を見てゆくとき私たちはそれがはじめは畏怖の感情から生じていることを見逃すわけにはいかない」2015/02/03

ぽん教授(非実在系)

1
ヨーロッパではキリスト教が民衆レベルにまで定着した中世後期以前は日本と同様自立した個人とは無縁の世間が成立していたこと、日本では明治維新による近代化の波によっても世間は解体せずむしろ近代化の促進のために世間が大いに役立ったこと、学者共同体も差別の構造も世間で説明できてしまうように日本は世間の動きであると言えることを古今東西のケースから説明していく。世間がうまくいくときは坂の上の雲へと駆け上がり、高度経済成長を駆け抜けたが、うまくいかないと軍国主義やデフレ大不況が襲った。世間活用術の参考としたい。2015/12/14

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/8861585
  • ご注意事項