内容説明
1939年、満州国(旧中国東北部)とモンゴルの国境地帯で日ソ両軍が激突した。当初は、東京の参謀本部も現地の関東軍幹部にとっても、そこはほとんど未知の場所だった。ただ、ハルハ河をモンゴル国境警備兵が越えてきたとき、懲罰の一撃を加えさえすれば“国境問題”は解決するはずであった。日本帝国敗亡の前兆となったノモンハン事件。軍事機密のベールに包まれた全容を再現。
目次
第1章 石塔と平原の土地―西部国境地域
第2章 発端―ハルハ河畔の小競り合い
第3章 関東軍と第二十三師団
第4章 試された国境紛争処理要綱―一九三九年五月
第5章 東支隊壊滅す
第6章 事件拡大への動き―一九三九年六月
第7章 独断のタムスク空襲
第8章 モンゴルへ―貧弱な橋
第9章 ハルハ渡河作戦
第10章 撤退
第11章 安岡戦車団の出動
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
55
アメリカの軍事史家によるノモンハン戦争の詳細な戦史。原著出版が1985年であり、情報ソースの多くが日本のものであるため、かなり日本寄りの印象もあるが、多くのインタビューを含めた資料吟味が行われており、相当丁寧な記述。もちろんシーシキンなどソ連側の研究も参照されているが、何分にも35年前なので、少し古さを感じる。航空戦は日本の優勢の評価、「モロトフのカクテル」もかなり戦果を上げたというが、しかし戦闘全体では日本の情報軽視、根拠のない強気、相手を見下して痛い目に遭うといういつものパターンで困難に陥る。2021/10/11
type-100
0
ソ連の情報公開前の本なので日本側の話が中心でロシア側の視点は少なめ。そこらへんはゴールドマン「ノモンハン1939」とか後発の本を読もう。だか日本人の興味を満たすには十分で、日本陸軍がいかに良く戦い、いかに無残に負けたかが感じられ、今読んでも色褪せない良書。2017/12/30