朝日文庫<br> 神々と天皇の間―大和朝廷成立の前夜

朝日文庫
神々と天皇の間―大和朝廷成立の前夜

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  • サイズ 文庫判/ページ数 337p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784022604712
  • NDC分類 210.3
  • Cコード C0121

内容説明

神武天皇から開化天皇まで、九代の天皇は実在していた…。「古事記」「日本書紀」はもとより、鴨、三輪、物部など古代大和の豪族に伝わる部族神の伝承まで、あらゆる文献を縦横に駆使し、これまで神話の世界とされてきた、大和朝廷に先行する王権―葛城王朝―の実在性を論証。大和朝廷成立前夜の謎と、天皇性の起源を究明する。

目次

第1章 葛城王朝の実在(葛城の宮址とその王朝;御陵の語るもの;王朝系譜の婚姻圏;大和朝廷転覆の謀反)
第2章 祭政の二重主権(皇位継承をめぐる問題点;第一子の祭事権)
第3章 葛城の神とその部族(葛城の神々;鴨族とその神;鴨の地の神たち;葛城族とその神)
第4章 天孫降臨神話の分析(降臨神話の原形;降臨神話の分析)
第5章 神武東遷とその後(神武東遷の語るもの;物部氏との対決;大和の先住者たち;大和朝廷の出自)
第6章 日本神話の作者は誰か

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

入江

13
皇位は歴代第二子が継承している! では、第一子は何をしているのか日本書紀や古事記から探る章が面白い。なんと、古代は、皇位を継承することよりも、神祭りをすることのほうが重視されていたからだという。しかし、国家が大きくなり安定し始めると、武力権をもつ弟に物語は集中し、祭事権は記録にも留められなくなってゆく。国や人々は時代を反映しているだけでなく、相互補完的だから次第に変化し、今にいたる。現代から古代へと、ほぐしてゆく感じが面白い。2017/08/22

讃壽鐵朗

4
鳥越の葛城王朝論で専門家の書いたものらしく説得力あり、恰もこれが存在したと信じたくなる。 崇神~三輪より遡って、欠史八代の宮址や御陵を歩きたくなった。 御所を中心とし、葛城山、金剛山、畝傍山を見つつの散策はいかほど楽しいものかと。

denz

4
婚姻関係から読み取って神武から開化九代の葛城王朝が物部氏を圧倒し、古代国家へと脱皮しようとしたところを崇神天皇に乗っ取られて「大和朝廷」となった、とする。神武東遷から大和平定は天之忍穂耳から開化までのエピソードの神話化。また古代の王権は、第二子相続で第一子は祭主権を持っていたが、応神天皇ぐらいで一本化されるという転換があった。葛城王朝と大和朝廷を結びつけたのは、葛城王朝の子孫である蘇我氏が歴史編纂に関わったから、と説く。1970年の出版で崇神の勢力として纒向に注目していたのは面白い。2011/09/22

わ!

1
すごく大胆な本である。記したのは、大阪教育大学の名誉教授も勤められたような方なのだが、この本の内容に限っては、とても大胆な仮説が書かれている。おそらくは本当にたくさんの書物を読み込んで出された仮説なのだろうが、何しろ大和王朝が造られる以前に葛城王朝が存在したという説なのだ。あとから見直してみれば、朝日文庫だから、まんざら空論として捨て置けない内容でもあるのだろうが、まさかこんな小さな一冊に、こんな大胆な仮説が書かれているとは思わなかった。2019/11/06

のんき

0
1988.1.25 第2刷

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