内容説明
第1部は昭和55年から57年にかけて綴った日記。「シンポジウムの司会について」「郭沫若の保身」「映画『影武者』の感想」「豊後・国東半島行」「稲荷山古墳の鉄剣」など、身辺の出来事から社会時評まで幅広く書き留める。第2部は「長岡京廃都の謎」「銅剣は『祭器』か」など7項目にわたる、古代史論考の力作。作者の史観が冴える。
目次
清張日記
古史眼烟(長岡京廃都の謎;銅剣は「祭器」か;旧約聖書と日本古典;書紀・倭人伝の「資料」考証;九州雑筆;稲荷山・船山両鉄刀の製作地;「呪術」の合唱)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
現在葬送のフリーレンのコスプレ中・寺「葬送のフリーレンて何や!」
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松本清張昭和55~57年の日記。とは言え週刊朝日に連載されたものである。近頃ふと松本清張に小さくハマり、もはや好きになってきている。清張が71~73歳の日記であるが、現役バリバリ。執筆のみならず講演、取材旅行、テレビ出演に論争と、アクティブな老人である。死んだ時も未完の連載があった事を思うと頭が下がる。古代史にハマっている時期の日記だが、それを差し引いても話題が多彩である。文化的好奇心がある者は老いないのではなかろうかとすら思わされる。今の世の中を見せてあげたい気分になる。徒党を組まぬサムライでもある。2017/05/12
浅香山三郎
12
昭和55〜57年の週刊朝日連載の公開用の日記。取材メモだつたり、備忘録的な叙述や、時評も含む。連載され、公表を前提にしてゐるから、読ませる日記になつてゐる。「十万分の一偶然」の為、大麻栽培の取材をし、『甲子夜話』に出てくる大麻で狂死する人の話に及ぶなど、話題は自在。更に京都で講演をしたついでに、堺で土塔を見て西インドの段丘式聖壇との連関を想起したり、奈良の寺社を訪ねたりと極めて旺盛に活動してゐるのが興味深い。清張さんの古代史好きは、作家になる前からで、昭和22年に飛鳥寺を訪ねたといふ話も出てゐる。↓2022/10/09
讃壽鐵朗
2
精力的な日々がうかがえる