朝日文庫<br> カストリ時代―レンズが見た昭和20年代・東京

朝日文庫
カストリ時代―レンズが見た昭和20年代・東京

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  • サイズ 文庫判/ページ数 206p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784022604286
  • NDC分類 748
  • Cコード C0172

内容説明

廃墟と化した東京に、やがて人々の活気が甦る。写真家・林忠彦氏の貴重な記録。

目次

誰か故郷を想わざる
占領の時代
焼け跡・闇市
戦災孤児の街
甦った青春
裸と夢
ニコヨンの哀歓
戦後の象徴・上野駅
おんな言葉の警察官
空手チョップと赤バット
スター誕生
最後の文士
街へ出た皇太子
帰らざる日々
スルメと焼酎
戦後社会風俗年表

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ホークス

35
昭和20年代の写真と解説。終戦時アジアには兵士と一般人が各300万人以上居て、カメラマンの著者も引き揚げ者だ。被写体は、米兵に寄り添う女たち、バラックと闇市、乞食、求職者、上野に群がる孤児や浮浪者等で、貧困に共通の暗い叫びが感じられる。そこに立ち会った著者の苦労話や笑い話にも値打ちがあり、逞しくて自由でシニカルな態度には憧れる。戦争は最低だが、戦争が無くても人間というものは酷い。自分と比べて持てる者は呪い、持たざる者は踏み付ける。この業に勝てはしないが、抗うヒントを昔の人にもらえたらと思う2018/09/02

kuukazoo

17
古本市で買った。戦後間もない昭和20~30年代東京の街や人が様々な角度から切り取られていて興味深い。添えられたエッセイも当時のカオスな状況やひたすらシャッターを切りまくりベストな構図のために無茶な姿勢や場所でカメラを構えたりなど写真家魂みたいなのが窺えて面白い。カストリ焼酎ならまだいい方でアルコールを希釈して飲んでたとか...そうまでして人は酔いたい。文庫版だけどどの写真もいいなぁと思ってたら太宰治@銀座・ルパンのあの有名な写真を撮った方でした。気づくの遅すぎ。吉行淳之介のエッセイも収録。良き本。2023/12/28

kinupon

17
林忠彦のレンズは見る者を圧倒します。2015/02/25

モリータ

11
『敗北を抱きしめて』で引かれていたので読む。太宰・安吾・織田作ら文士の写真はいずれも有名なもの。敗戦後の東京の、人々の嗜好と意外な豊かさをとらえた街頭の風景。復員兵の人間味のある、きっと現代人と変わらない表情(そりゃそうだ、祖父の時代なのだから)はしかし、直前まで非人間的な世界にいたのだと思うと怖くなる。2017/08/31

ハチアカデミー

11
実体験と写真の間にはどうしたって越えられない溝がある。ただ、過去を知るという意味で写真や映像に文学や絵画は適わない。加えて本書がすばらしいのは、事実だけでなく写真の中に文学が同居している点で、だからこそ作家は彼に写真を撮られることを望んだのだろう。終戦直後から文学者が社会的に認められ始めた時代まで、モノクロの中に物語が詰め込まれた写真集である。呑めば三号で潰れる酒、刊行が三号で潰れる雑誌を指したカストリ、という言葉は、高度成長期までの日本のありさまそのもの。そんな時代を切り取ったフォトエッセイである。2014/05/23

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