内容説明
持ち噺の多彩さでは史上最高といわれた故六代目円生は、また、本番の落語の前にちょっと喋る短い話―いわゆる「まくら」の名手でもあった。その洒脱な語り口は、江戸時代の社会や落語の舞台についての綿密な研究に裏打ちされている。数々の名高座から、65編をよりすぐった定評ある円生の「まくら」集は、一味変った珠玉の小エッセイ集ともいえよう。
目次
祭り自慢
花魁異名
床屋の障子
江戸の名物
花見の趣向
新宿の遊女屋
背負い小間物屋
縁の不思議
旦那芸
やぶ医と手遅れ
水茶屋
噺家の歌舞伎
湯屋と風呂屋
隅田川の風情
吉原の祝儀
本卦がえり
褌と屁越し
たいこもちの鑑
母の胎内〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sawa
6
★★★★☆ 六代目三遊亭圓生の落語の「まくら」だけ集めた本。「まくら」って好きなんです、終わってすいーっと噺に入るあの感じ。可笑しいだけじゃなくって、由来や時代背景などためになることもあったりして。勉強熱心で、真面目で、品のある人柄が伝わってきてとてもよかった。(図)2012/05/03
ihatov1001
1
昭和の大名人、六代目三遊亭圓生の噺のまくらだけを一冊にまとめた貴重な一冊です。滑稽なものから人情物まで多岐に渡り、改めて噺の多彩さに驚かされました。2024/01/04
ワンモアニードユー
1
落語本を読むのが好きで、圓生さんのまくらを集めたものを読んでみました。 米朝さんの噺にもよく出てくるようなまくらがあり、噺自体もですがまくらの系譜もあるのだと思いました。 まあ小話っていうのもありますからね。 それにしても、江戸が活き活き感じられるのもいいですが、圓生さんの子供のころや若いころの回想といった時代の描写も、とても味があって好きです。2013/11/10
philadelphiro
1
圓生の落語はよく聴くが、本題の前の前口上(まくら)は味があってとても面白い。この当時の「呑む・打つ・買う」が全部入っていて楽しめる。最近落語をよくCDで聞くので、ここに出てくる噺は馴染みのものばかりだが、実はこの本もう20年前くらいの本なのである。絶版は惜しいよね。そんな本である。それと耳で聞いてもよくわからない言葉がいくつもこの本で知れた。「マブ」というのは仲のいい友達くらいの意味で小生使っていたが、実は「真夫」でマブといい、この女にはマブがいて(この女は結婚していて)・・・というふうに使うと知った。マ2012/12/03
Gen Kato
0
再読。読んでいると、圓生師の語りが耳もとで聞こえるよう。枕の多くは、ほんの雑談と思わせて、最後のオチの伏線になっている。だから噺を通しで聞かないと本当の妙味はわからないのだが、圓生師の場合(あ、志ん生師もそうですね)は枕だけでもじゅうぶんに面白いです。2013/08/31