感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
零水亭
30
『三体詩』には杜甫も李白も収録されていませんし、白居易も数えるほど。それでも名詩が多いのは編集者の南宋・周弼先生の見識の高さによるのでしょう。日本に入ってきたのは1250年、禅宗で広まり始めました。五山文学の発展に影響したのでしょうし、世相の不安定だった晩唐の詩は鎌倉、南北朝、室町、戦国時代の混乱の慰めにもなったのでしょう(明代に編集された『唐詩選』が日本で流行したのは1724年頃と言われていますから、戦国武将も芭蕉も『三体詩』は読んでいても『唐詩選』は目にしていない訳です)。2021/10/08
零水亭
8
崔顥(サイコウ)の七言律詩「黄鶴樓」は第三・四句「黄鶴一たび去って復た返らず、白雲千載空しく悠悠」が純粋な対句になっておらず、平仄も乱れ、律詩としては定型的ではありませんが、古来絶唱とされており、後に訪れた李白も「これ以上のものは作れんよ」と一旦諦めかけたほど。『三体詩』『唐詩選』『唐詩三百首』と日本でよく(?)出版されている唐詩の選集三つのいずれにも収録されています。 若い頃読んだ時は「大袈裟と言うか大味な詩だなぁ」としか思いませんでしたが、人生の折返しも過ぎた今、実は味わい深い詩と感じています。2021/05/22
零水亭
7
中晩唐の詩は、心に沁みる詩が多いなぁ・・・2024/08/14
零水亭
3
三体詩を読むのが長年の念願でしたが、去年1巻、先月2巻、お茶の水の内山書店3階で購入して読みました。日本人好み(?)の落ち着いた内容の詩が多いです。李杜の詩はないですが、「作詩の立場からは天才的な李白、杜甫よりも王維の方が参考になる」という点では後世の清・王漁洋(唐賢三昧集[→ 日本語で読みたいな…])、日本・江戸時代の広瀬淡窓(淡窓詩話[岩波文庫で出ており、たまに重版になります])と共通点が多いように思います。2019/11/30