朝日選書
時代がつくる「狂気」―精神医療と社会

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  • サイズ B6判/ページ数 309p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784022599254
  • NDC分類 493.7
  • Cコード C0330

内容説明

いま、精神医療が身近なものになってきた。誰もが、心の病、精神の病と無関係ではいられない。そんな時代を迎えている。では、なぜそうなったのか。患う人は本当に増えているのか。それとも精神の病や精神医療が変化したのか。精神医療は、その時代の、政治や法制度、文化や風俗、民俗や宗教、社会やメディア、人びとの意識、そして社会運動がつくりあげてきた。それはある意味、各時代の観念が凝縮した姿でもある。かつて精神の病とはどういうものであり、人びとはそれをどのように扱ってきたのか。狐憑き、滝行といった民間治療、私宅監置、精神鑑定、ノイローゼやうつ、自殺など、近現代の精神医療に関わる歴史的・社会的事例を紹介し、ではいま精神医療の現場でどういう試みや考え方が始まっているか、自殺をどうとらえるか、複雑で複合的な精神医療をめぐる諸問題に、新進気鋭の各学問分野の専門家が挑む。

目次

総論 司法と医療のはざまで―精神医療をめぐるアポリア
第1章 治療の場をめぐる精神医療史―「癒しの場」から「普遍化された場」へ
第2章 精神療法をめぐる歴史―民間療法からの出発とその帰結
第3章 戦争と優生の時代における精神病者
第4章 メディアが担う社会的「狂気」
第5章 「心の病」の精後史―狂気の隔離からメンタルヘルスの啓蒙へ
第6章 「意志的な死」を診断する―自殺をめぐる精神医療の人類学
第7章 精神障害者の社会貢献活動―千葉県市川市でスタートした患者会「プロジェクトR」の活動リポート

著者等紹介

芹沢一也[セリザワカズヤ]
1968年東京生まれ。京都造形芸術大学、慶應義塾大学非常勤講師。社会学専攻。現在、『論座』に「犯罪季評」を連載中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

gtn

17
かつて犯罪者と同等に見做されてきた精神障害者。戦後、一部の学識者が彼らを刑事司法から救おうと声を上げる。しかし、その学識者自身も、依然彼らが社会的に危険な存在との認識が抜けず、精神病院に閉じ込めようとする。法整備により、同病院も膨大に建設される。それらを経営維持するため、多くの障害者が家族から引き離され、浮浪者狩りに近いことも行われる。学識者の「使命感」により、かえって障害者が社会から隔離されるという皮肉。その施策に障害者の思いが何一つ反映されていない故だろう。2020/03/20

塩焼きそば

4
図書館本。 最初のほうが結構読みにくかった。 後半に行くにつれて読みやすくなった。 精神医療も時代によって変化していくことがわかった。 正直、昭和の初期とかに生まれてたら私は生き残れなかったかもしれない。 もう入院は嫌だなあ。。。2016/10/17

onaka

1
精神医療をテーマとした論集。「覚悟の自殺」と「病的な自殺」の境界線をめぐる医師自身の葛藤を描いた、第6章「『意志的な死』を診断する」が印象に残った。自殺しようとする患者の実存の領域に踏み込む精神療法によって時に医師自身が自殺に共感してしまう。死への衝動を自由意志の発動と捉えるのか病と捉えるのか。精神科医がどこまで判断できるのか。狂気を治療するとはどういうことか。考えさせられる。2009/09/08

cochon_voyage

0
本文より『一見「ソフト」なメンタルヘルス思想の導入は、私たちの日常生活を精神医学化し、「狂気の隔離」とは異なる問題系を生み出しつつある』。司法、医療、歴史、福祉、いろんな方向から、とても読みごたえのある本だった。普段、医療に埋もれ忘れていた、本来のソーシャルワーカーの視点を思い出させてくれた。2015/07/26

田畑

0
先生から借りた本一冊目消化。2013/12/14

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