出版社内容情報
世界最高の廃墟、それが軍艦島 ──。「クレイジージャーニー」『奇界遺産』『世界の廃墟』でおなじみの写真家・佐藤健寿が、日本が誇る廃墟を博物学的・美学的視点から撮影、紹介する。世界100カ国以上を訪れ、奇妙なものを解説する著者の最新作。
内容説明
この町には耳をふさぎたくなるほどの静けさがある。廃墟の王、軍艦島へ。
著者等紹介
佐藤健寿[サトウケンジ]
写真家。武蔵野美術大学卒。世界各地の“奇妙なもの”を対象に、博物学的・美学的視点から撮影・執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ままこ
95
好きなTV番組クレイジージャーニーで知った『奇怪遺産』写真家の佐藤健寿さんが撮った軍艦島。壁に落書きされた詩にインスピレーションを受けその一文を引用しながら写真と併せて淡々と静かに観る者に問いかける。何故こんなにも軍艦島は興味を惹くのだろうか。その理由の一つとしてあとがきの〈混沌の感覚〉になる程。台風被害もありますます朽ち果てる速度が早まっている。上陸可能な内に観に行きたいな。2019/03/21
キラ@道北民
42
廃墟に残された「落書き」の「詩」と共に見る軍艦島写真集。特異な詩があるからか、静寂な廃墟ではなく、ミニチュア都市であった頃の気配が感じられる写真集だった。特に俯瞰して撮ったものは、人々が建物から建物へ渡り歩いた様子がわかり面白い。2018/05/12
PEN-F
41
ここ数年ずっと行きたくて行きたくて今も行きたくて行きたくてしょうがない場所、軍艦島。ちょうど“海に眠るダイヤモンド”を観始めたとこで、当時の端島の住民の生活とか炭鉱夫の生き様とかがとてもよく表現されていて、当時の活気に満ち溢れていた端島と、この写真集にある人の営みはすでに遠い過去のもので今は廃墟と化してしまった端島。自然界の創作物も素晴らしいが、軍艦島には人間の手によって造られた人工物に宿る人のエゴみたいなものが感じられてすごく好き。あぁ〜、行きたいなぁ。一度でいいから軍艦島に行って写真を撮りまくりたい。2025/01/21
蒼
26
ページをめくるごとに耳を突き刺す静寂と、カメラマンの瓦礫を踏む足音と、当時駆け回っていたいただろう子供達の声が聞こえて来るような、不思議なそれでいて襟を正してしまいそうな感覚に襲われた。端島 別名「軍艦島」、そこは昭和の石炭産業の墓標でもある。日本のエネルギーを支えた人々が残した足跡は、静かなそれでいて圧倒的な力を今でも放っている。だから写真ではあるものの襟を正してしまうのだろう。おそらくコンクリートの瓦礫になってしまっても、その熱量は衰えないのでは無いだろうか。2019/02/18
kanata
25
来月、軍艦島を含めた三度目の長崎観光を控えているところに、この本をお気に入りさんが読んでて、手にしたくなった。軍艦島に興味をもったのは、島そのものの廃墟に惹かれたことからだったが、やがてこのミニチュア都市で生きた人や日本を支えた産業の過去を知りたくなった。見学時には、あんな小さなところに数千人もが住んでいたなんて信じがたいけど、それが事実なのだということを感じたい。/島に残された落書きの詩を、佐藤氏の撮影した写真と交互に配置し、読み手にどう感じたか問うような作り。2018/04/22