神樹

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神樹

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  • サイズ B6判/ページ数 595p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784022574282
  • NDC分類 923.7
  • Cコード C0397

内容説明

中国山西省の山村で、樹齢数千年の「神樹」が突然開花した。神樹がよみがえらせた親、子、兄弟や八路軍の亡霊たちは、過去を再現し、語りはじめる。抗日村長を斬り殺した日本軍、神樹に守られた八路軍、土地改革で虐殺された地主、国家規模の“大躍進”・製鉄運動のために餓死し、あるいは生き延びた村人、文革時に失脚した村の書記、宗教結社弾圧に巻き込まれ処刑される娘…、神樹は歴史のすべてを見てきたのだ。開花の奇蹟に御利益を求め人々が押し寄せたため、共産党政府は危機感を覚え、迷信を根絶すると称し、神樹伐採に中央から戦車の大部隊を出動させる。神樹を守るため、村人は亡霊の八路軍に加勢し、戦車隊に立ち向うが…。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

燃えつきた棒

39
三十二回目の六月四日が巡ってきた。 香港では追悼集会が禁止され、六四記念館が閉鎖された。 ならば、「ひとりでも六四」ということで本書を手に取った。 僕の中では、石牟礼道子の『苦海浄土』が水俣病の記憶遺産であるように、この本が天安門事件の記憶遺産だ。/2021/06/22

三柴ゆよし

26
大江健三郎はノーベル賞受賞スピーチの中で、中国の莫言と本書の鄭義の名を挙げ、アジアにおける<グロテスク・リアリズム>という枠内で自身の文学との近親性を語っていた。一読本書はたしかに大江健三郎往年の傑作『同時代ゲーム』や『万延元年のフットボール』によく似た小説なのだが、おそらくは山口昌男の象徴論あたりを反映して描かれた大江健三郎の作品に比べて、本書はよりアジアの土着に根付いた小説ということができて、要するに大江健三郎が理論的に組み立てた世界を、鄭義は身体的なレベルで構築しているのである。これは脅威。(続)2014/08/18

志ん魚

8
共産体制に翻弄されまくる近代中国と、名もなき人民たちの途方もない悲しみを飲み下すような読書。神樹の開花とともに村に亡霊たちが帰ってきて、往時を語ったり幻影を見せたりするあたりは、『百年の孤独』などの芳醇なマジックリアリズム小説を彷彿させる。しかし、抗日戦争、社会主義化初期の地主階級虐殺、文化大革命、政策失敗に伴う壮絶な飢饉など、20世紀後半になっても数百万、数千万単位で人が死んでいく中国の切迫感や生々しさは、南米のそれとは全然違う。「人権」なんてつい最近の概念だけど、不屈の生命力は何千年も続いている。2011/04/11

0
エロいしグロいし、苦手な人も多いと思う。面白いけど、『百年の孤独』には劣る。2010/07/15

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