出版社内容情報
「この街は少しずつ沈んでいる」──そんな噂が流れる人工島で、タワマンに住む水泳部の仁寡(ひとか)は厳しい父の目を盗み、夜な夜なノートに空想の世界を描く。この世には伝説の島へと続く「セノーテ」と呼ばれる泉があるのだ。
ここではない別の世界へ。苦しくも美しい「中学一年生の夏」を切り取った、街に生きる子供たちのビルドゥングス・ロマン。
【目次】
内容説明
「この街は少しずつ沈んでいる」―そんな噂が流れる人工島で、タワマンに住む水泳部の仁寡は厳しい父の目を盗み、夜な夜なノートに空想の世界を描く。苦しくも美しい「中学一年生の夏」を切り取った、街に生きる子供たちのビルドゥングス・ロマン。第10回林芙美子文学賞大賞受賞作「森は盗む」も併録。
著者等紹介
大原鉄平[オオハラテッペイ]
1976年大阪府出身。作家。2024年「森は盗む」が第十回林芙美子文学賞大賞に選ばれる。本書がデビュー作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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よっち
19
地盤沈下の噂が流れる人工島を舞台に、水泳部に所属する中学1年生の仁寡の苦くも美しい夏を描いたビルドゥングスロマン。事業で成功し新市街のタワマンに移り住んだことを誇りにする厳しい父の目を盗み、夜な夜なノートに空想の世界を描く仁寡と、旧市街に住むりょうとの関係。それに海とプール、期待される月見先輩と不良の野口先輩、父・和久と野口先輩など、様々な関係や象徴的なエピソードを絡めた描写で状況を浮き彫りにしていきながら、セノーテに入るためのしるしを持っていない仁寡の覚悟と、成長が感じられる結末はなかなか良かったです。2025/08/04
yasuyuki suzuki
7
人工島で街が沈んじゃったらで始まる摩訶不思議な入り方の物語、主人公、仁寡と同級生りょう水泳部先輩の野口と月見先輩、野口は中学生なのに金髪でタバコを吸う奇妙な行動の数々そして中でも印象に残ったのが仁寡の父の行動自分が経営するレストランに野口が来た時の野口の悪行に対しての行動が物凄く印象に残りました。単なる青春ストーリーかと思いきや、異色中の異色の物語に読む手が止まらず新しい感覚の物語でした。そしてあなたもこの奇想天外の物語に酔いしれて下さい。2025/06/30
chuji
1
久喜市立中央図書館の本。2025年7月初版。『八月のセノーテ』初出「小説トリッパー」2024年秋季号、『森は盗む』(第十回林芙美子文学賞受賞作)初出「小説トリッパー」2024年 春季号。セノーテのほうが面白かったです。2025/07/22
selva
0
さまざまな記憶を呼び起こす話だった。2025/07/09