出版社内容情報
高校の漫画研究会のたった二人の部員である葵と由利。デビューを夢見る二人だが、歌舞伎町のビルから女子高生が転落した事件をきっかけに人生の歯車が軋み始める。『殺した夫が帰ってきました』の著者が贈る、騙されること必至の青春ミステリー。
内容説明
漫画賞入選の過去を隠し、漫画研究会に入部してきた新入生の由利。部長兼たった一人の部員だった葵は、その事実に嫉妬と羨望を抱いてしまう。そんな二人の関係は、歌舞伎町のビルから女子高生が転落した事故を境に大きく歪み始めて…。悲しみが果てしない悪意に変わる、泥沼青春ミステリー。
著者等紹介
桜井美奈[サクライミナ]
2013年、第19回電撃小説大賞で大賞を受賞した『きじかくしの庭』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
156
『漫画のことを考えているときだけは、自由になれる気がするんだよね』。二年生の葵が新入生の由利と『漫研』での充実した日々を送る姿が描かれるこの作品。そこには漫画を愛する二人の”青春物語”が描かれていました。そんな物語に並行するかのように怪しげな闇の世界が描かれていくこの作品。騙されないぞと用心してもすっかり騙されてしまったこの作品。“どんな状況なら人は復讐に走るのか”という疑問もテーマにしたとおっしゃる桜井美奈さん。そんな桜井さんの”ミステリー”な物語に素直に騙されることの幸せを感じた素晴らしい作品でした。2025/04/11
hiace9000
129
読後みなさんのレビュー拝見して、思わず失笑。「なんや、みなヤラれてるやん!」と。そう、帯の惹句の挑発に”絶対に騙されねぇ!”と奮起するも、敢え無く玉砕。まんまとしてやられる。でも騙されて嬉しい!これも紛れなき事実。ミステリは「作者の意図」・「作中の登場人物と描写のミスリード」・そして「読者である自分自身の猜疑心」という三者のせめぎ合い。ライトな筆致すらミスリードを誘発するのか?とも。視覚優位の「漫画」をモチーフにした点も、映像化不可能である今作の匂わせ部分。だからこそ小説は面白い。騙され快感読書を是非。2025/06/01
美紀ちゃん
71
爽やか女子高生がなぜ復讐?と思っていたらP169で「復讐」という文字が出てきた。そこから一気読み。漫画が好きで高校の漫画研究部(同好会)に入ったゆり。1学年先輩の葵は漫研のことを説明してくれて2人ですごすことが多くなった。顧問の先生も女性で少女漫画を読んだり漫画を描くためのネタを考えたりする日々。そして、並行する物語があり、それは、あやしい夜の街の話。歌舞伎町での薬の売買など。このふたつの話がどうミックスしていくのかわからず読んでいたが後半でたくさんの謎がわかる。びっくりの連続。相田さんがグッジョブ!2025/04/19
ごみごみ
54
ふたりの高校生が「漫研」で友情と夢を育む爽やか青春物語・・で終わるわけないよね。この不穏なタイトルだもの。大量に薬を売買し、推しのホストに入れ揚げる少女の話との繋がりを予想しつつ読んでたけど、終盤の怒涛の展開にただただ驚かされた。全然気づけなかった。なるほどねー。2025/04/23
sayuri
45
帯には『騙され注意!』の文字が躍る。騙され系には毎回まんまと騙されるので、今回こそはとミスリードされないように読み進めた。だが、くー、してやられた。物語は、小野川葵が部長を務める漫画研究会に、新入生の由利が入部して来た所から始まる。たった二名の部員。一見、漫画制作に情熱を注ぐ青春ストーリーのようだが時に感じる不協和音。先が読めない中で起きた転落事故。中盤までは復讐の"ふ”の字も登場せず、誰が誰に復讐を企てているのか全く見えて来ない。終盤でようやく伏線が回収されパズルのピースが嵌った。これは究極の恋愛小説。2025/06/01
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