出版社内容情報
スタイリスト見習いとして働く友梨奈と、牛肉加工工場でパートをしている主婦の未知。それぞれに何かから「抑圧」されている。現代社会で生きていく女性のやるせなさを見事な筆致で描きつつ、他者と他者がつながれることを希求する、期待の新鋭の飛躍作。
内容説明
夢を叶えるため上京した友梨奈と夫との歪な関係に苦しむ未知。周りに言葉が届かない苦しさを抱え、それぞれに孤独な夜を過ごす二人…。
著者等紹介
櫻木みわ[サクラキミワ]
1978年、福岡県生まれ。作家。タイ、東ティモール、フランス滞在などを経て、ゲンロン大森望SF創作講座を受講、2018年に作品集『うつくしい繭』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
172
ざらつく読後感。カサンドラ症候群なる言葉を初めて知った。友梨奈の身に起きたことは理解に苦しむけど、まだわかる。未知の言動は夫が有り得なく怒りを覚えるが、未知自身も何かおかしくないか?私の理解の範疇を超える感じなのだ。違和感が拭えなくて、それからの未知が気になって仕方ない。実は未知のようなタイプが一番強いのか?親子でも夫婦でも自分以外の人間と、コミュニケーションを図るのはとても難しい。もちろん友人関係でも然りだ。力ずくでは上手くいかないし、誰かと同じなんてあり得ないはずなのだ。傾聴の難しさを本作から学んだ。2023/02/24
モルク
125
自己性愛パーソナリティの相手をもった二人の女性。憧れのスタイリストのアシスタントとなり上京した友梨奈に襲いかかった悲劇。そして夫に付いて滋賀に来た未知が改めて知った夫との関係。モラハラによって被害を受けている人、自分は被害者という自覚がなく、相手から責められたり罵倒されるのは自分が悪いからと思い込む。私さえちゃんとしていれば彼は優しい人だから…と自分を追い込んでしまう。未知はその典型であり彼女の性格から更に追い込まれる。周りの反対をよそに彼女の下した決断は…私も彼女を止めたい。読んでいてヒリヒリした。2023/12/15
machi☺︎︎゛
120
最近少しだけ自己愛性障害について調べた事があったので、それをテーマにした本と聞いて読んでみた。友達から相談された内容とよく似た旦那さんが出てきて何か怖くなった。そして今住んでいる県が舞台になっていて何とも言えないソワソワした気分になった。本の内容は自己愛性障害の男の人に関わる女の人目線の話だけど、特に未知の方は生きにくそうだなと私まで息苦しくなり彼女の未来が明るいものである事をただただ祈った。2023/02/10
やも
97
自己愛性パーソナリティの男に振り回される女×2。1人はスタイリスト見習いの女、調子乗ってるイケメンに遊ばれ翌日にはストーカー扱いされる。もう1人はネット上の漫画家。不妊治療のあれこれを漫画にしてたけど、あるエピソードで旦那が激おこ。モラハラかましてきて女を泣かせる。▶お初の作家さん。櫻木さん、ぜったいお洒落さんだわ🧐✨なんかいちいちオシャレだった。で、ストーリー。読んでて苛々楽しかったぁ〜😂私もカサンドラ状態なってたことあるかも。頭沸いてるとそうなる時もあるのよね、アイタタタ🤦💦★3.52023/02/03
レモングラス
91
「気骨があるし、勉強熱心で、センスも奉仕の精神もある。いいスタイリストになれると思う。それに、戸部ちゃんには意地のわるいところがすこしもない。それって品があるってことよ」そんなふうに言われていたのに。スタイリストの菱田さんに憧れて手紙を出してアシスタントに。手紙まで書いてきた人はいなかったと空きが出たときに採用され「消えてしまうのは力の弱いほう。だから注意深く、かしこくいないとだめ」とアドバイス貰ってたのに。こんな酷い展開は全く想像しなかった。怖い。カサンドラ症候群という言葉を初めて知りました。2024/03/22