出版社内容情報
開設からもうすぐ20年になる鳥取・野の花診療所。へき地医療、超高齢化社会、在宅医療など、現代の医療が抱える問題の詰まったこの場所は、死があふれているのに、なぜかあたたかい。医師のにごりのない目を通して描かれる現代の看取り。
内容説明
人ひとりがこの世からいなくなるときの戸惑いや寂しさに向き合ういのちの底力―。医師になって45年、在宅ホスピスも行う有床診療所「野の花診療所」で18年。長年見つめてきた家族たちの姿を描いた涙あふれるエッセイ。
目次
1 四季往診
2 七人七色
3 家族多彩
4 愛別離苦
5 言葉宇宙
6 野の花通信
著者等紹介
徳永進[トクナガススム]
1948年生まれ。内科医。京都大学医学部卒業。鳥取赤十字病院内科部長を経て、2001年、鳥取市内にホスピスケアを行う有床診療所「野の花診療所」を開設。1992年、地域医療への貢献を認められ第1回若月賞を受賞。著書に、『死の中の笑み』(講談社ノンフィクション賞受賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りんこりん
1
仕事柄人を看取ることもあるけど、忙しい急性期の病棟で、ただ死んでいく人のかたわらに居続けることすら難しくてこれでいいなかなって葛藤が常にある。今はまだ、新しい知識も技術も身に着けたいから急性期でがんばるけど、将来はこんな診療所で働けたらなと思う。こんなお医者さんと一緒に働きたい2023/02/05
ヒロりん
0
・「野球で言うと」と僕は答えることがある。「9回の裏、ワンアウト」。(P129)・最初の「眼施」は、やさしい目で人を見るということで、容易そうで奥深い行為とも思える。ホスピスケアに限らず、ケアそのものの原点は「眼施」だろう。(P187)・どちら[の自然]もが人間の意図、人間の操作の及ばぬ世界、ということでは通じる。(P197)・「われわれは怠け者なので、固定というものを常に求めてるんです。固定が欲しいんです。学校制度の狭窄衣みたいなものです。」(P227)2020/12/19
ゆり
0
人はそれぞれ生き方も違って思いも違って、当たり前に死に方も違います。この本に出てくる患者さんも、本当に色々な人がいました 。まさに十人十色だと思います。最期の迎え方を自分で決めて、その希望に沿って周りの家族や友人、医療職らに支援してもらう、そんな形がまぁるい死に通じるのかなと考えました。そして、最期を見送る人たちは、側で見守るという姿勢が大切なのだと教えてもらいました。2020/09/20
wakazukuri
0
著者の徳永医師の医療精神や温かくユーモラスな性格が、ホスピス診療所を暗い感じに受け取らずにいられる。看取りの、看取られの双方の絆やあり方がわかり、心温かくなる。こんな医師に看取られたいなと思った。そのためには今を一生懸命生きなければとも思う。そうすれば死も怖くないのかも。面白いというのは語弊があるが、面白かった。一題一題簡潔で読みやすかった。2020/06/19
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