出版社内容情報
【文学/日本文学小説】宮部みゆきの朝日新聞連載小説『荒神』の挿絵全点を、掲載時はかなわなかったオールカラーで完全収録。挿絵を担当した漫画家こうの史代が独自に書き下ろした文章を添えた、”もう一つの『荒神』の世界”がたっぷり楽しめるストーリーブック。
内容説明
新聞連載小説『荒神』の挿絵で新たに編んだ絵物語。漫画家・こうの史代による“もう一つの『荒神』の世界”。大好評の挿絵403点全点プラスαを、たっぷり書き下ろした文章と共にオールカラーで収録!
著者等紹介
こうの史代[コウノフミヨ]
1968年、広島県生まれ。漫画家。95年『街角花だより』でデビュー。おもな著作に『ぼおるぺん古事記』(古事記出版大賞稗田阿礼賞受賞作)、『この世界の片隅に』(文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞作)、『夕凪の街 桜の国』(文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞、手塚治虫文化賞新生賞受賞作)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yoshida
188
宮部みゆきさんが新聞連載していた「荒神」。挿絵を描いていた、こうの史代さんによる新たな「荒神」の絵物語。宮部みゆきさんと、こうの史代さんという私の大好きな作家さんの合作です。面白くないわけがない。挿絵はオールカラーで400点を超します。さらに文章も書き下ろしで新たな視点から「荒神」を再度、楽しむ事ができます。こうの史代氏の挿絵の優しさ、女性の艶やかさ。さらに文章もこうの史代氏ならではの慈しみを感じる。挿絵を眺めるだけでも充分に楽しめます。「荒神」と合わせて読むことをお薦めします。満足の1冊。2016/04/28
Bugsy Malone
86
墨絵のタッチに合わせたのか、宮部みゆきさんの原作に比べ荒々しさという部分ではだいぶ抑えられている様です。それでも挿絵の色使いはとても美しく、また原作を書き換えた終章は、挿絵の構図も素晴らしく、胸を締めつけられる様な切なさを感じながらも、包み込まれる優しさや温かさに満たされ、原作とはまた印象の違う感動を与えてくれました。『荒神絵巻』というタイトルもとても良かったと思います。2018/01/23
ままこ
83
新聞連載時宮部さんの『荒神』の挿絵担当だったこうの史代さんが絵と文を再構成。世界観そのままに素朴な絵柄と柔らかい色彩が魅力の『荒神絵巻』。ただダイジェスト版みたいな感じなので原作を先に読んでから読むのが良いかも。2018/09/02
ひめありす@灯れ松明の火
82
本当に源氏物語とかの絵巻物を本の尺に収めるべくちょんちょんと切って、縦に並べた感じの本文でした。原作は出たばっかりの頃に読んでたので、内容についてはさらりと。やじの事、双子の兄弟の秘密、がわかってたとはいえショックでした。こうのさんのお絵は初めて見ましたが、昔話のように暖かくて柔らかいものでした。これが毎日繰り広げられる凄惨な物語を和らげていたのでしょう。新聞連載は毎日挿絵があるのでぜひ他の作品でもこういう本を作って欲しいなあと思います。どれとは言わないけれど遠田志帆さんが挿絵を描いているあれとか。買うよ2016/12/10
ちはや@灯れ松明の火
79
なぜこの世に生まれ落ちてしまったのか。北の山から吹き下ろすがんずくお山の唸り声、芽吹きはじめた緑が闇にとける。いかりの赤とかなしみの青に覆われたからだ。人知れず捨ておかれた身をうれい、運命にあらがって、ながされて。さびしいと、ひとりはいやと、燃やされて、血ぬられていく。春の陽がつつんだ村も、笑いあった顔も、楽しかったあの頃も。にくしみの黒に埋め尽くされたこころをいとしさの白が充たす。その眼に映る大切な人たちをまもるために生まれてきた。さびしくない、そばにいる。北の山から吹く風がやさしい日々を呼びさます。 2015/04/21