出版社内容情報
手塚治虫のライフワーク「火の鳥」12作がオリジナルのB5サイズで復活! 手塚治虫のダイナミックな描線を堪能できる大判サイズ。生誕80年を記念して、なつかしのデザインで。毎月2冊ずつ刊行予定。第1回は「黎明編」と「未来編」の2冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
zero1
81
人類は必ず破滅に向かう?コロナ危機の中読むと緊迫感が増す。西暦3404年、人類は荒れた地上を捨て地下で生活。五つの都市は退化した人に代わりコンピュータが判断。マサトは夢を見せるムーピーと暮らすが上司のロックはムーピーを殺すよう命令。マサトは地上に逃げる。都市間で戦争が起き、超水爆で人類滅亡の危機。火の鳥はマサトを死なない体に。死なないのは【死ねない】刑罰。宗教と神の根源や人類の未来に警告した名作。我々は発達したAIを使いこなす?それとも機械の奴隷として終焉を迎える?人類の退化は既に始まっている。2021/01/13
りんご
44
別巻(ギリシア・ローマ編)を除いたらこれで全て読んだんじゃあないでしょうか。あー壮大だった。2はムーピーゲームのやつだった!鳥にご指名されたマサトはミクロの世界とマクロの世界両方に宇宙が広がってるのを見せられる。この描写は初読時、幼かった私の脳を激しく揺さぶりました。死ななくなったマサト。肉体が滅んでも精神体として存在を続ける。それはもう神。無限の時を経て、マサトは鳥の中に飛び込む。宇宙の中の宇宙の一つで、我々は泣いたり笑ったり死んだり生きたり。2022/05/19
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
44
手塚治虫さん、すごい!地球が誕生してから、生物が生まれ、絶滅していくを繰り返していく様子が身に包まれるような話でした。既に地球環境の悪化への懸念、人間の愚かさなどに警鐘を鳴らしていたとは驚きです。またいつかこんな事が起こりそう・・。2019/10/17
ナハチガル
26
古代からいきなり数千年後の未来。一つの作品でこの振り幅はすごい。小学校の授業でさえ核戦争の危険について語られていた、冷戦時代のあの頃の雰囲気を思い出したりもした。宮崎駿が昔の手塚漫画はすごかったとどこかで書いていたが、ソドムとゴモラの話とか、人工生命とか、影響を受けているらしいのも偲ばれる。永遠の命を求める話は多いが、それをまず恐怖として描いているのは、手塚の絶望に触れるかのようだ。ネットどころかパソコンはおろか、コピー機すらなかった時代にこれほどの作品を作り上げた労力と才能には驚嘆せざるを得ない。A+。2023/07/08
エドワード
22
火の鳥未来編。最終章。西暦3404年、瀕死の地球。超大国の戦争で人類は絶滅する。人類戦士のマサトは、不定形生物ムーピー・タマミと共に宇宙へ逃れ、猿田博士の研究所へ着く。マサトは火の鳥と出会い不死の命を得る。火の鳥が語る「宇宙生命(コスモゾーン)」が物語の核だ。宇宙は生きている。地球も生きている。微生物から人類までの進化を何度もたどる。火の鳥は思う―今度こそ信じたい。今度の人類こそ生命を正しく使ってくれるようになるだろう―と。1960年代にこの物語を描いた手塚治虫の生命哲学。久しぶりに読んでも新鮮だ。2025/03/21