感想・レビュー
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たま
61
歌舞伎座で夢枕獏作、戸部和久脚本の「陰陽師 鉄輪」を見、下敷きとなっている謡曲を読んだ。わずか4ページ、女とその生霊、新しい妻に乗り換えたその夫、安倍晴明という構成。詞章は美しいが棄てられた怨みで女が鬼になる設定が…謡曲は普通シテの情念が高まってその極みで浄化されるのが魅力と思うが、『鉄輪』の女は陰陽術?で退散させられるだけ。歌舞伎の方は謡曲の詞章を生かしつつも構成はより複雑で夫・藤原兼家が安倍晴明に助けを求め、源博雅や蘆屋道満も登場し、シテの浄化はないけれど、雅な雰囲気が楽しめた。2025/01/10