感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
バルジ
5
率直に言ってかなり難解な論集でありまた読み直さければと決意させられる一冊。近代日本の国際秩序論を思想面や国際関係論と架橋し論ずる。蝋山政道の多元主義的国際秩序論とハロルド・ラスキらの影響は周知だが、矢内原忠雄とラインシュを繋ぐ学問的系統が近似しているのは驚きだった。矢内原におけるコモンウェルス評価の意外な高さは同時代の国際機構認識に再考を迫るものであろう。終章の岡義武論文を同時代的背景から国際関係論、ひいては思想的側面を捉え直し日本外交史研究の中に位置づける力技には脱帽するばかり。2023/05/15