岩波現代文庫
隔離―故郷を追われたハンセン病者たち

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 404p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006033125
  • NDC分類 498.6
  • Cコード C0136

出版社内容情報

らい予防法が廃止されても,ハンセン病隔離政策が終わり解決したわけではなかった.回復者たちの今の声.

徳永 進[トクナガ ススム]
著・文・その他

内容説明

家族からも故郷に帰ることは勿論、連絡をすることも拒絶されることが多かった、元ハンセン病患者たち。社会から、生きることから「隔離」された彼らに深い共感を抱き続けた著者が、若いころからライフワークとして一人一人の話を聞いた貴重な記録。らい予防法が廃止され、国が謝罪をしても、彼らの苦しみが終わったわけではない。アンケートにより集めた高齢になった彼らの今の思い、著者の論考「隔離の中の医療」を新たに収録した増補版。

目次

序 理由のないものに刻まれる生
1 収容の日
2 らいを病んだ母
3 戦争とらい
4 島での生活
5 発電所のある村―らいを病んだ故郷の人たち
聞き書きを終えて
らい者は今日も故郷を想う―一九九一年
続く故郷の拒絶―二〇〇一年
終焉期に聞こえる声―二〇一七年、ハンセン病療養所入所者へのアンケートハガキから
隔離の中の医療

著者等紹介

徳永進[トクナガススム]
1948年鳥取生まれ。京都大学医学部卒業、医師。鳥取赤十字病院内科部長を経て、2001年鳥取市内にホスピスケアを行う有床診療所「野の花診療所」を開設。1992年地域医療への貢献を認められ第一回若月賞を受賞。著書に『死の中の笑み』(講談社ノンフィクション賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

この商品が入っている本棚

1 ~ 1件/全1件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かいゆう

23
著者が医学生だった頃、故郷鳥取のらいを病んだ40人の方達の話を聞き書きしたもの。らいにかかったが故に、本人はもとより家族までもが差別を受け、故郷を追われ隔離される。どういう風に扱われ暮らしてきたか、想像以上であった。指が曲がり、顔が崩れ、手の指や足を切断する。今だからこの扱いは酷いと思えるが、見た目もあり、当時は確かに自分も感染したらと考えると怖くてたまらなかったであろうとも思う。結婚して幸せを見つけた方もいたのかと思ったら、断種手術されたという。今も施設で暮らしている方もおり、まだ苦しみは続いている。 2021/12/18

ネムル

18
隔離施設に収容されている間に、家族はこっそり地元の朝鮮に帰ってしまった。元ハンセン病患者という差別的烙印を押されてしまったため、地元に帰りたくも帰れない。こうした数多くの聴き語りを読むに、ハンセン病の身体的な苦しみはもとより、地縁・血縁を断絶させる社会的な排斥に病の恐ろしさをみるようだ。隔離政策は間違っていた、悪だ!と問題を単純化出来るならいいのだが、差別による苦しみを受けた者には、隔離施設によって病を肯定を出来たという証言もある。問題は常に複雑だ。2019/05/31

CTC

11
19年2月の岩波現代文庫新刊。初出は82年ゆみる出版(医学系の版元?)、その後91年より岩波で版が重ねられている。著者は鳥取の医師で、京大に学ぶ頃先輩の影響から“らい診療所”を訪ね、そこに故郷を同じくする“らい者”が多く暮らしていることを知る。入所者への聞き書きが本書(72年ごろ)。実は60年頃には特効薬プロミンによる治療がほぼ確立し(国内でも46年に既に内製されているのだが…)、治る病気になっていたのに…96年に“らい予防法”が廃止されるまでは強制隔離政策が続いていた。本書は増補され、悲劇を辿るもの。2019/04/15

Schuhschnabel

5
鳥取県に縁のあるハンセン病患者に医師である著者がインタビューした記録。紙に残っている記録からは窺い知れない現実をまざまざと見せつけられた。診察を受けても病名を伝えられずただ「すぐ帰って来られるから岡山に行ってくれ」と言われ、嫌だと言っても家族・親類・近所の人という外堀を埋められ、まるで自白を強要されるかのように「行きます」と言わざるをえなくなる。いくら本人が療養所生活に満足していると言っても、それは社会のあらゆる場面で差別を受けてきたからに他ならない。まさか断種手術のことを話してくださるとは思わなかった。2021/04/29

ポルターガイスト

4
本編はもちろん,巻末の解説含め非常に充実していた。ハンセン病に関する安価で入門的な本は意外となく,本書が手頃なのではないかと思う。光田健輔の焼き付くような「正義感」が強く印象に残っている。2022/06/09

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/13533080
  • ご注意事項

最近チェックした商品