内容説明
豊かな風土に寄り添って独自の文化・伝統をはぐくみ、戦争の傷跡や基地の悲劇を背負いながらも、おおらかに生きる沖縄の人びと。七色の海、サトウキビ畑、密林の廃坑、色鮮やかな花々、そして日々の暮らしの中に秘められた記憶…復帰直後から島々をわたり歩き、多面的な魅力を撮りつづけてきた著者が、沖縄への熱い想いを綴った珠玉のフォトエッセイ。文庫版には新たに写真一〇点を追加。
目次
七色の海
海原での出逢い
平和な島
織りロマン
あけずば
ガジュマル
六月の太陽
236095個の石
被害と加害
南十字星
風
温度差
フェンス
若夏のころ
密林
鼓動
著者等紹介
大石芳野[オオイシヨシノ]
東京生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、ドキュメンタリー写真に携わり、平和と人間の尊厳を見つめる取材を続けている。著書に、『無告の民 カンボジアの証言』(岩波書店、日本写真協会年度賞)、『沖縄に活きる』(用美社)、『夜と霧は今』(用美社、日本写真協会年度賞)、『カンボジア苦界転生』(講談社、芸術選奨文部大臣新人賞)、『ベトナム 凛と』(講談社、土門拳賞)、『福島FUKUSHIMA 土と生きる』(藤原書店、JCJ賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しいたけ
93
美しい沖縄の写真をはさみながら語る、土に染み付いた惨状の残像。100日吹いた、鉄の暴風。14万の魂が還った空は、どんな色に染まっていたのだろう。「平和な島」であり続けるには、相手もまた平和でなければならないという。優しい風のような心根に、日本が置いたむごい歴史。記憶は必ず次の世代へ。真っ黒に焼かれた骨の重さは、恨みの重さではない。私たちに課せられたものの重さを、胸に刻むように読んだ。2018/09/26
Shoji
68
沖縄は青い空と青い海だけじゃない。有史以来、日本本土の犠牲になり続けている。人頭税、マラリア禍、琉球処分、地上戦、在米基地、尖閣諸島、、、。沖縄は政治の道具としてのみ利用され続けている。象徴的な出来事が佐藤元首相のノーベル平和賞だ。その裏には「沖縄密約」があった。国民を騙して獲ったノーベル平和賞だ。クソくらえ!。私は、沖縄の独立に賛成だ。これ以上、沖縄が政治に翻弄されてなるものか。2017/02/28
ナディ
23
いつになれば本当の意味での戦後を迎えることができるのだろうか。1997年に出版された当時と状況はあまり変わらず。一人一人の小さな声が集まれば、いずれこの流れは変わるのだろうか。2017/01/13
二人娘の父
10
浅学の不明を恥じますが、著者(写真家)はかなり著名な写真家であり、さらに言えば、被写体も沖縄や広島をはじめベトナムなど世界各地の戦場を主とする報道写真家とのこと。本書は文章が主でありつつ、所々に登場する沖縄の海や花、織物などがカラー・モノクロ交えて、効果的に配置されている。タイトルにあるように若夏=うりずんの季節は、沖縄にとって特別な季節である。77年前のこの季節は鉄の暴風が吹き荒れ、50年前は「復帰」にかかわる喧騒の季節でもあった。著者の沖縄への視点が優しく暖かい。そういう気持ちになれる著作である。2022/08/02
林克也
1
開邦高校芸術科金城満先生の石の声・・・・・・。 大石芳野の写真は昔から見てきたが、まとまった文章を読んでみて、変な表現かもしれないが、写真どおりの人だな、と思った。2023/07/24
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