内容説明
青森県上北郡六ヶ所村。下北半島の太平洋側に長く伸びた寒村は、戦後に満州帰りの農民によって開拓が進められた。その大地が密かに日本の「核開発」の拠点に据えられていた。核燃料サイクル基地建設は、政財官の隠された欲望だった。一九六九年に発表された「むつ小川原開発」計画を前面に立て、農民たちの土地が奪われた。使用済み核燃料再処理工場の建設は最も危険な出発だった。それに抵抗する人たちの闘いは粘り強く続く。
目次
1 開発前史
2 侵攻作戦
3 挫折地帯
4 開発幻想
4 反対同盟
6 飢渇の記憶
7 村長選挙
著者等紹介
鎌田慧[カマタサトシ]
1938年、青森県に生まれる。ルポライター。『六ヶ所村の記録―核燃料サイクル基地の素顔』で毎日出版文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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桔梗の積ん読?本棚
感想・レビュー
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太田青磁
12
六ヶ所村の記録(上) 1000万だすというのと、税金がかからない方法を考えてやる、といって、もう一回やるんだな・原発はブレーキのない欠陥車だ、カマドを壊すような企業を持ってきてもしようがねえ・過疎で広大で海がいいでしょ。陸奥湾というのは日本でも最高の湾の一つですよ・辺鄙なとこと言われながらも、生活程度が低いと言われながらも、ここで暮らしてきてるんですから、当然ここにおるための運動はしなければならない・「国家的事業」などと喧伝されながらも、開発地域の面積は、バナナの叩き売りのように、いい加減に削られていた2020/09/13
ryuetto
3
「なんでこんなことになっちゃったのか?」という疑問の答えを知りたくて、読んでみました。 「人間がいないところには、公害が起きない」という開発推進派の理屈を聞いてショックを受けたんだけれど、人さえいなければ、その場所をどんどん汚してもかまわない。人間を追い出して汚染地帯を作るのが、「開発」の正体だと。自然豊かな過疎の田舎で育った身には、とても許せるものじゃありません。それはないだろう? 地方在住者は、もっと怒っていいんじゃないかと思うよ。都会のゴミだけ田舎に押しつける、その理由に。2012/04/19
ユ-スケ
2
鎌田さんの処女作? 詳細なルポの内容に、少々、飽きるきらいもあったが、さすがの説得力 核廃棄物処理場の前にこんな計画があったとは知らなかった2020/03/15
Kenichi Kurokawa
2
国策により、否応無しに核燃料サイクルの拠点とされた六カ所村の大作ルポ。東北の寒村がいかにして、巨大開発の対象となり、今に至るのか、とても考えさせられました。2013/06/16
あきかん
1
やっと上巻読了。断続的な読書だったけどしかたない。現在の状況を思うと喜んで読み進めることができないからか。「第6章 飢渇の記憶」を読んで同じ南部人としてとても暗い気持ちになる。巻末の年表、1974年以降は下巻掲載の方がいいような気がする。内容の感想は下巻の後。“妻子なく 牢に座す身の 楽さかな”米内山義一郎2013/03/20