内容説明
人目を気にしない、自閉症のたかし君。人目を気にし、指のない右手を手袋でかくし続けたみつこさん。障害をありのままに受け入れ、誰もがのびのびと生きられる社会をつくるために、障害を一つの“生きるかたち”と考え、一つの“文化”としてとらえることはできないか。多様な文化が共生できる社会を、ともに目ざそうと呼びかける。
目次
1 たかし君の小さな事件(ある出会い;たかし君のきまり ほか)
2 生き物の生きるかたち(文化ってなに?;動物という文化 ほか)
3 与えられた条件のままに(彼らの不思議、私たちの不思議;自閉症が治ってもらったらこまる ほか)
4 羞恥にとらわれて(みつこさんの右手;手袋 ほか)
そして一二年がたって―文庫版あとがき
著者等紹介
浜田寿美男[ハマダスミオ]
1947年香川県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。専攻は発達心理学・法心理学。奈良女子大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Yama-Mikasa
1
そうかあ、14かあ、東野圭吾は10000いくのになあ。しょうがないか。勉強本だからなあ。浜田先生は本当に深い先生だと思う。発達障害者のスキルアップ教育ではなく、一般人の他者に対するスキルアップを、と訴えている。他者とともに生きるということの意味を考えさせてくれる。2017/03/07
ひざくりげ
1
内化した「世間の目」、自分自身で障害を異物化して排除しようとしてしまう事は自分自身にも大いに思い当たる。「ありのまま生きる」という事は丸裸で生きることとは違う。ありのままにふさわしい生活世界がその人をとり囲んでいることが必要なのだ。2014/01/13
くま
0
特別支援教育が共に生きることを妨げるものとなりうる危うさをもつものということを突きつけられた。もちろん、特別支援教育の一人一人のニーズに合わせた丁寧な指導のもと達成感をもちながら力をつけ、前向きに生きていく子どもたちもいる。しかし、学校教育を終えた子どもたちは自分たちとは異なる文化との接触の経験のない社会に飛び込むこととなる。違いから同じへ。そのような気付きのある経験が教育に求められる。2023/08/21