出版社内容情報
「一陽来復」とはもともと、陰暦十一月の冬至、一年で夜が最も長い日に陰が極まって陽が戻ってくることをいう。巡りゆく季節を彩る花木や懐かしい風物に、中国の古典詩・随筆・歳時記に描かれた印象深い情景を重ね合わせ、明るい世界の到来を願いつつ心伸びやかに生きる日常を綴った滋味あふれる随筆集。(解説=井波陵一)
内容説明
一陽来復とはもともと、一年で夜が最も長い陰暦十一月、冬至の日に、陰が極まって陽が戻ってくることをいう言葉。巡りゆく季節を彩る花木や懐かしい風物に、中国の古典詩・随筆・歳時記に描かれた印象深い情景を重ね合わせ、明るい世界の到来を願いつつ心伸びやかに生きる日常を綴つた、滋味あふれる随筆集。新たに二九編のエッセイを増補。
目次
第1部 四季おりおり―詩のある日々(一月;二月;三月;四月;五月;六月;七月;八月;九月;十月;十一月;十二月)
第2部 今のこと、昔のこと―身辺の記(一月;二月;三月;三月;四月;五月;六月)
第3部 京都・大文字の麓から(天涼好箇の秋;初春の祝祭;あらまほしき理想像 ほか)
著者等紹介
井波律子[イナミリツコ]
1944‐2020年。富山県生まれ。国際日本文化研究センター名誉教授。専門は中国文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
61
仕事の車中の待機中に。夜の車中…室内灯は弱々しく、特に漢詩を読むのは辛い。無論、書き下し文が添えられているし、意訳も施されている。でも、文庫の活字を追うのは辛いことに変わりはない。 それでも、身の程知らずにも漢詩を読むのは好き。高校でも古文で漢詩の本を参考書ということじゃなく、ほとんど楽しみで読んでいた。 2024/05/09
あきあかね
14
題名の「一陽来復」とは、冬至のことを指す。日一日と世界が陽光の明るさを取り戻していくという素敵な言葉だ。 長くともに過ごした母の他界によって凍りついた著者の心が、四季折々に暮らしに彩りを添える可憐な花々と、心揺さぶる中国古典詩の調べによって、次第に解きほぐれてゆく。晩唐の詩人杜牧は「江南の春」で、春の雨が木々の緑と花の紅、無数の楼閣を優しく包み込む情景を歌ったが、雪が雨に変わり、春の気配が濃くなる二十四節気の「雨水」のように、植物たちも、著者の心も蘇る。⇒2024/09/18
やいっち
7
身の程知らずにも漢詩を読むのは好き。高校でも古文で漢詩の本を参考書ということじゃなく、ほとんど楽しみで読んでいた。 社会人になってからも、李白、杜甫、白楽天、蘇軾…。日本でも一休宗純の『狂雲集』に挑戦したことも。全く歯が立たなかった。途切れなくとは言えないものの、折々漢詩(書き下し文)に触れてきた。日本人(先人)の素養の原点を忘れないようにと。2024/05/09
Kuliyama
0
とても勉強になりました。2024/01/18