出版社内容情報
烈々たる気概に満ちた奇人・達人の群像,とてつもないスケールの華麗な物語世界.中国文学の魅力をわかりやすく説き明かす第一人者である著者が,個性豊かな人物のエピソードや,面白い書物,不思議な出来事をめぐって縦横に語るエッセイ集.
内容説明
『三国志』『西遊記』『水滸伝』『紅楼夢』…。とてつもないスケールで繰り広げられる華麗な物語世界。烈々たる気概に満ちた奇人・達人の群像。中国文学の魅力をわかりやすく説き明かす第一人者である著者が「竹林の七賢」をはじめとする個性豊かな人物のエピソードや、面白い書物、不思議な出来事をめぐって縦横無尽に語る。とびきり愉しい中国文学案内。
目次
1 歴史を彩る奇人・達人(とびきりの奇人たち―「竹林の七賢」と明末の知識人;抵抗のパトス―隠者の二つのタイプ ほか)
2 幻想と夢の物語宇宙(奇想小説の世界;中国「奇書」の系譜 ほか)
3 中国文化プロムナード(東西シンデレラ物語;雛祭り ほか)
4 本と人との出会い―わたしの中国文学遍歴(わたしの書店遍歴;本との出会い ほか)
著者等紹介
井波律子[イナミリツコ]
1944年富山県生まれ。京都大学大学院博士課程修了。現在、国際日本文化研究センター名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やいっち
43
本書を読んで、あれこれ知ることが出来た。中国には、推理小説の伝統・系譜はない。そう言えば、現代は分からないけど、過去には思い浮かばない。何故? 但し、日本で言う大岡裁き風なのはあるらしい。それも、漢字で謎解き風らしい、とか。近代以前の中国では、名前を本名で呼ぶのはタブー視されていた(日本でも似た感覚があったのでは)とか、日本との違いと共に類似する文化も感じた。 余談だが、井波氏の交友が凄い。吉川幸次郎、桑原武夫、梅原猛、高橋和巳、鶴見俊輔…。まいった。2019/10/03
まこみや
42
学者のエッセイが好きだ。もちろん誰でも何でもいいというわけではないけれど。何よりも文章がうまくて、初心者でも気後れせずにつきあえることが必須である。第二に、該博な知識の裏付けをもちながらも、素人にもわかりやすいことである。第三に、門外漢に対しても学問の面白さを感じさせて好奇心を掻き立ててくれるものである。三つの条件を兼ね備えているとなると対象は自ずと限定されてくる。その稀有な語り手の一人であった井波律子氏の逝去を惜しむ。合掌。2022/12/01
TomohikoYoshida
15
中国の「奇人」についての話が印象深い。王朝が滅び、新しい王朝が支配するとき、自分はどういう立ち位置を取るか、ということと、その奇人ぶりが関係している場合がある。贅沢を極めたり、書家として、画家として生きたり、自分の考えひとつで選択できることは素晴らしいことでもあるし、大変なことでもあるな、と思いながら読んだ。本書の後半にいくに従って著者のプライベートや交流が垣間見え、それが良かった。著者の水滸伝の翻訳には大変楽しませてもらった。合掌。2021/09/23
もち
6
アンソロジー。知っている話でも、結びつけられかたによって、こうもスポットライトの当たるところは違うのだなぁと当たり前のことを実感した。おもしろかった。2018/02/14
Decoy
4
中国文学の入門書か解説本かと思っていたら、エッセイ集だったので、やや拍子抜け。第4部が最も面白かった。かつて京大にいた本物の知の巨人たちとの出会いを読んで、「日本の大学も、昔は相当なものだったのだぁ」と思った・・・。2020/02/27