岩波現代文庫
今ひとたびの戦後日本映画

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  • サイズ 文庫判/ページ数 301,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006021252
  • NDC分類 778.21
  • Cコード C0174

内容説明

日本映画が最も輝いていた時代、忘れ難き場面の意味を読み解く。

目次

戦争未亡人と死者
田中絹代と戦争未亡人
三船敏郎と復員兵
帰ってきた男たち―復員兵を描く映画
ゴジラはなぜ「暗い」のか
「僕たちの力ではどうしようもない」―今井正監督『また逢う日まで』
戦後を生ききれなかった男と女―成瀬巳喜男監督『浮雲』
貧乏の好きな成瀬巳喜男
母の力―杉村春子から飯田蝶子まで
私が棄てた母親―『日本の悲劇』の望月優子
口笛吹いておいらは元気―清水宏監督『蜂の巣の子供たち』
白いブラウスの似合う女の先生
「働く子ども」のけなげさ―美空ひばりの『悲しき口笛』ほか
恋する妹、美空ひばり
穏やかな父―笠智衆
肉体が輝くとき―京マチ子の豊満
愉しい民主主義―『青い山脈』の明るさ

著者等紹介

川本三郎[カワモトサブロウ]
評論家。1944年東京に生まれる。68年、東京大学法学部卒業。91年『大正幻影』(新潮社/ちくま文庫)でサントリー学芸賞、97年『荷風と東京』(都市出版)で読売文学賞、2003年『林芙美子の昭和』(新書館)で毎日出版文化賞受賞。映画批評家としての活躍も著名(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

踊る猫

22
差別語を敢えて使う。「女子供」の隣に位置する批評と受け取った(そして、おそらくは先の戦争で疲弊してしまった男たちの「弱さ」をも見据えていると)。川本三郎の書くものはそうした、「弱さ」というか「弱者」に向けて温かい眼差しを向けているところが信頼できる。批評という行為はややもすると高みからの宣託の如き響きを帯びてしまうが、川本はそうした宣託を避け丁寧で平たい言葉を使い、私たちに寄り添ったところから語りかける。それ故にインパクトのある言葉は残らないものの、読んでいて疲れが来ず心地よく読める。そして愛を感じさせる2022/04/13

たろーたん

1
最初の『ゴジラ』はSF映画や怪獣映画ではなく戦後日本映画で、故に暗い。夜の闇の中で炎上する東京の町、燃え盛る火の中を逃げ惑う群衆、病院に収容された負傷者。原爆の申し子であるゴジラが、人間を恐怖のどん底に叩き込むものだ。事実、本多猪四郎は「ゴジラの襲撃は東京大空襲のイメージだ」と言っている。著者が印象に残ったシーンとして、ゴジラに負われて逃げる母と子が出てきて、死を観念した母親が子を抱きしめ「もうじき、お父さんのそばに行くのよ」と語りかけるところを挙げていたが、とても子供向きとは思えない。(続)2024/10/13

ヴァン

0
日本映画が輝いていた昭和の時代、モノクロームの画面から読み解いた映画論。明快な文章で往年の俳優や監督を取り上げながら、過ぎ去った過去の時代を愛情豊かに語る。DVDを買う際のガイドにもなるだろう。2015/01/16

okaka

0
思い入れたっぷりの戦後映画史。対象となった映画をほとんど見ていなくても面白く読める。2010/04/20

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